2022年7月に奈良市で参院選の応援演説中に安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件で、殺人などの罪に問われた山上徹也被告の裁判員裁判が18日、奈良地裁(田中伸一裁判長)で開かれ、検察側は「元首相を衆人環視の中で殺害し、わが国の戦後史に前例をみない犯行だ」として無期懲役を求刑した。

 弁護側は、被告の生い立ちが悲惨ともいうべき境遇で犯行動機と直結しているとし「最も重くても懲役20年までにとどめるべきだ」と主張し、結審した。

被告は殺人罪の起訴内容を認めており、最大の争点は量刑。判決は来年1月21日に言い渡される。

 この日行われた裁判を、古田尚記者が傍聴席から見た。

 黒のスエットにベージュのパンツ、サンダル姿で入廷した山上被告は、想像していたよりもふっくらとしており驚いた。

 髪を後ろで束ね、背中を丸めながらうつむき加減。無表情だった。

 検察側による論告では、冒頭に安倍氏の妻・昭恵さんの陳述書が読み上げられたが、目線を下に落としたまま、一切表情は変わらなかった。その後は頭をかいたり、眼鏡をかけては取るを繰り返すなど、落ち着きのない様子に見えたが、検察側に「無期懲役」を言い渡された瞬間は身じろぎひとつしなかった。

 弁護側の最終弁論は、資料を見ながらじっと聞き入っていた山上被告。最後に裁判長から述べたいことはあるかを問われたが、首を振り「ありません」とボソボソと一言答えるのみ。最後まで謝罪の言葉はなく、無表情のままだった。

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