落語家の林家あんこ(39)が東京・錦糸町のすみだトリフォニーホールで恒例の「『北斎の娘』を聴く会」を12月12日に開催した。葛飾北斎の娘で謎多き女絵師、葛飾応為(おうい)の半生を描いた自作落語の自主公演で、3回目の今回も満員札止め。
林家一門期待の二ツ目は、師匠に林家しん平、父に林家時蔵を持つ2世初の女性噺(はなし)家で、墨田区に生まれ育ったことから地元出身で江戸時代の世界的浮世絵師の三女を題材にした落語を2022年から創作。スピンオフとして「北斎と応為が出てくる10分ぐらいの話」も手掛け、この日は江戸時代後期に来日したドイツ人医師で博物学者のシーボルトが登場する「シーボルトの注文」をまず披露して観客を引き込んだ。
話し終えた直後には、まさかの地震に見舞われるハプニング。それでも「私が揺れているのかと。寄席だと座っているので地震に気づきやすいんですけど、平均年齢が高い楽屋だと師匠方がみんな揺れていることがありまして、あれ?地震かな?と思うことが何度かありますが」と続けて場内爆笑。「大丈夫ですか、みなさん。もし何かあっても私と添い遂げるという運命共同体でやっていますので」と会場を落ち着かせてから「北斎の娘」を披露。約50分にも及ぶ壮大なストーリーを前半と後半の2部に分け、表情豊かに語り尽くして観客を魅了した。
12月22日(月)には「北斎の娘」のスピンオフの新作ネタ卸しなどを行う「『北斎の娘』を育てる会」(鈴座Lisa cafe)を行い、今後も続々と北斎と応為を題材にした創作落語に着手。来年3月20日(金・祝)には地元・墨田区で「第14回林家あんこ独演会」(本所地域プラザビックシップ)も予定されており、日本テレビ「笑点」のアシスタントを務めながら活躍の場をさらに広げていきそうだ。
なお、この日の前座は桃月庵ぼんぼりが務め、スペシャルゲストとして22年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に選ばれた女流義太夫節三味線演奏家の鶴澤津賀寿(つるざわつがじゅ)と第1回も同会を盛り上げた粋曲の柳家小菊による「うっとり姉妹」も登場し、観客を沸かせた。

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