卓球女子で五輪3大会連続メダリストの石川佳純さん(32)が全国各地を訪ねて卓球やスポーツの魅力を伝える「47都道府県サンクスツアー」第47弾が20日、鳥取・米子産業体育館で行われた。サンクスツアーは2022年4月16日に福島県でスタートし、約3年8か月をかけて47都道府県を回ってきた。

現役時代から続けてきた活動が、涙のフィナーレを迎えた。

 石川さんは47都道府県で出会った多くの子供たちの笑顔を思い浮かべ、感極まった。最後に訪れた鳥取県。ツアーの完走を告げる閉会式でサプライズが待っていた。これまでの軌跡を振り返り、交流した子供たちからのメッセージが盛り込まれた映像が流されると「絶対に笑顔で終わろうと思っていたんですけど…。皆さんの温かい声に触れて感謝の気持ちでいっぱい」と声を詰まらせた。

 全国を回り、応援してくれた方たちへ感謝の気持ちを直接伝える。それは現役時代から抱いていた夢だった。22年4月に福島・喜多方市で初回が実現。「始めた時は本当にできるのかなと思っていた」。手探りのスタートだったが、回を重ねるごとに内容を深めた。23年5月に引退すると、少しでも現役時に近い技術を見てもらいたいとの思いからペースを上げた。

 この日は小学生以下72人が参加した。開会前には「最終回なので。いつも以上にしっかり準備して、いいプレーを子供たちに見てもらいたい」と練習場で大粒の汗を流した。12年ロンドン五輪女子団体銀メダルの平野早矢香さん(40)との実技指導やトークショーなどで約3時間半交流。参加者全員に声をかけ、実際にボールを打つこだわりは初回から貫いてきた。

 3年8か月での完走だった。「ずっとやりたかったことをかなえられて本当にうれしい。全部を鮮明に覚えていて、忘れられない旅になった。このゴールを目標にやってきたので次は正直決まってないけど、これからも子供たちとスポーツ、卓球を通して関わっていきたい」。今回の経験を糧に、新たな目標を見つけていく。(林 直史)

 ◆サンクスツアーの開催順 〈1〉福島〈2〉大阪〈3〉奈良〈4〉愛媛〈5〉京都〈6〉福岡〈7〉兵庫〈8〉鹿児島〈9〉千葉〈10〉茨城〈11〉埼玉〈12〉富山〈13〉佐賀〈14〉秋田〈15〉北海道〈16〉香川〈17〉徳島〈18〉山口〈19〉長崎〈20〉岐阜〈21〉東京〈22〉岡山〈23〉石川〈24〉大分〈25〉栃木〈26〉新潟〈27〉広島〈28〉山形〈29〉滋賀〈30〉愛知〈31〉山梨〈32〉長野〈33〉神奈川〈34〉宮崎〈35〉福井〈36〉島根〈37〉熊本〈38〉岩手〈39〉群馬〈40〉静岡〈41〉三重〈42〉和歌山〈43〉沖縄〈44〉青森〈45〉宮城〈46〉高知〈47〉鳥取

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