◆プロボクシング 全日本新人王決勝▽ライト級(61・2キロ以下)5回戦 〇出畑力太郎 (2回TKO) 守屋龍之介●(20日、東京・後楽園ホール)

 ライト級は、東日本新人王MVPの現役高校生、出畑力太郎(18)=マナベ=が守屋龍之介(24)=KWORLD3=に逆転TKO勝ち。全日本新人王のタイトルも獲得した。

 戦績は出畑が6戦全勝(5KO)、守屋が3勝(2KO)1敗。

 衝撃的な結末だ。2回、守屋の右ストレートでダウンを喫した出畑だが、強烈な右アッパーでダウンを奪い返した。ダウンの応酬に会場が盛り上がる中、出畑からさらに打ち下ろし気味に右を強打すると、守屋は再びキャンバスに倒れた。立ち上がるもふらふらになる西日本代表を見てレフェリーが試合を止めた。

 「勝ってほっとしています。(最初のダウンは)いらないパンチをもらった」と反省も「(倒れても)余裕があったし、落ち着いて見ていられた」という。ダウンを奪い返した右アッパーは「入ったけど効いていないと思った」と手応えはなかったようだが、「KO決着になる」と思って臨んだように、チャンスとみるや攻撃の手は緩めなかった。

 出畑の父・力也さんは空手の正道会館の師範代で、重量級の大会で優勝経験を持つ。6歳から父のもとで空手を学び、高校1年からボクシングを始めた。父とサポートし続けてくれた姉に感謝の気持ちをリング上で示した出畑は「生んでくれた天国の母ちゃんにも感謝しています」と話した。「4歳の時に亡くなったけど、記憶はうっすらある」そうで、家族の愛情に心から感謝した。

 試合後の表彰式。東日本新人王に続いて、全日本でもMVPに選ばれた。名前を呼ばれると、照れくさそうに頭をかいて前に出たのは18歳の少年そのものだ。通信制の高校を来年3月に卒業予定。その後は「ボクサー1本で。目標は大きく世界」という出畑は「強い選手はいっぱい、いる。こんなんじゃダメ。これからも一戦、一戦、勝ち続けていきたい」とさらなる成長を誓った。

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