◆第62回全国大学ラグビーフットボール選手権大会▽準々決勝 京産大26―24東海大(20日・ヤンマースタジアム長居)

 4試合が行われ、京産大が最大14点差をひっくり返して東海大を26―24で破り、5大会連続の準決勝進出を決めた。SO奈須貴大(4年)=光泉カトリック=のトライとSH高木城治(3年)=東福岡=のゴールで、2試合続けてラストプレーで“逆転サヨナラ勝ち”した。

11戦全敗中の準決勝で明大と対戦する。天理大は早大に21―26で惜敗し、2大会連続の準々決勝敗退となった。

 京産大が2試合連続で奇跡を起こした。19―24の後半40分、左サイドに集まった東海大の守備をすり抜けるように、SO奈須が同点トライを決めた。「FWが粘り強くプレーしてくれていたので、本当にうれしかった」。高木が丁寧に勝ち越しゴールを決めると、会場は大歓声に包まれた。3回戦の慶大戦に続く“逆転サヨナラ勝ち”で5大会連続の4強入りを決めた。

 前半から東海大フランカーのヴィリアミ・マフィ(4年)=東海大福岡=に2トライを奪われるなど、前半12分と同35分に最大14点差をつけられたが、逆転する瞬間まで冷静だった。「慶大戦を経験できたことで、焦りがなかった。こう着した場面でもボールを継続できたのが大きい」とフランカー・伊藤森心(もりし)主将(4年)=松山聖陵=。残り40秒で試合をひっくり返した前回の経験が生きた。

 伊藤の右手首には「YD to the 国立」と書かれたテーピングが巻かれていた。

アキレスけんを負傷し、欠場が続くSO吉本大悟副将(4年)=東海大大阪仰星=を国立に連れていくという思いを込めて、試合前に用意した。「大悟はチームに規律を浸透させてくれた一人。彼を国立に連れていくということが、きょうの大きなテーマだった」。試合後にテーピングを見せてもらった吉本は「そんな思いでいてくれる選手もいるんだなとうれしかった。できる限りのことをやって、国立に間に合わせたい」と、年明けの復帰を誓った。

 準決勝では、2大会前に30―52で敗れた明大と対戦する。広瀬佳司監督(52)は「ベスト4以上の成績を上げたことがないので、今季はなんとか突破したい」と11度挑んで越えられなかった壁を、今年こそ破る意気込みだ。「日本一は大きな目標だが、まずは決勝進出を狙いたい」と伊藤。泥くさく、ひたむきなラグビーで、新たな歴史をつくる。

(藤田 芽生)

 ◆京産大の23年度準決勝VTR 前半2分にSO吉本大悟が脳しんとうで交代するアクシデントに見舞われ、前半だけで明大に4トライを許した。後半も明大の現主将でCTB平翔太らバックスに3連続トライを献上した。突破役として期待された当時2年生のNO8シオネ・ポルテレも封じられ、30―52で大敗した。

編集部おすすめ