フィギュアスケート 全日本選手権 兼ミラノ・コルティナ五輪最終選考会 最終日(21日、東京・代々木第一体育館)

 2014年ソチ五輪に木原龍一とペアで出場し、26年ミラノ・コルティナ五輪でスポーツ報知のペア評論を務める高橋成美さん(33)が長岡、森口ペアの躍進を解説。金メダル候補の三浦、木原組との“共闘”と、日本ペア隆盛のきっかけへエールをおくった。

 * * * *

 長岡、森口ペアは素晴らしい演技でした。スピード感、表現面でさらに磨きがかかり、技の精度も積み上がっている印象です。ミスは多少あるものの、ミスの大きさが小さくなり、要素の質の高さが上がっている。まさにマイナスが小さく、プラスが大きくなっているような演技でした。

 「りくりゅう」という目標とする存在が近くにいることも「ゆなすみ」にとっては大きいのではないでしょうか。森口選手はとても研究熱心。木原選手のことを尊敬している分、吸収しようとしながら彼が本来持つエレガントさも表現できています。今季から本格的にトリプルツイストを取り入れていますが、ペアではトリプルツイストができて初めて、世界で認められるという暗黙の了解のようなものがあります。トリプルツイストを入れながらも他の要素をブラッシュアップできていることは、ペアとしてとてもいい流れです。

 ミラノ五輪には日本で初めてぺア2組が出場します。団体のチーム戦のことを考えても、1組ペアがあれば戦える。その意味でも、一つできた山にもう一つ続いたことは、歴史的に見ても大きな一歩だと感じます。

そして、世界一に一番近い「りくりゅう」とのギャップが少ないペアが、2枠目にいる。日本ペアが発展していくいい兆しであると感じます。

 私は元々、日本選手はペアやカップル競技に向いていると思っていました。北米で練習をしていた頃にも感じていましたが、日本ほどレベルの高い選手がそろっている国はなかなかありません。選手層の厚さは、世界でもトップレベル。「りくりゅう」のおかげで認知度が高まり、ペア競技への選択肢が増えたからこそ、国として急速な成長につながっていると思います。

 「りくりゅう」には、ミラノ五輪で金メダルを獲得するチャンスがあります。五輪の金メダルは、一刻のブームを生むのではなく歴史に刻まれる。金メダリストがいる国、国を代表する競技として、ペアが成立すると思っています。このビッグチャンス、日本ペアがつかむことを私も全力で応援したいです。(2014年ソチ五輪代表)

編集部おすすめ