“ジャンボ尾崎”こと男子ゴルフで国内最多のプロ通算113勝(うちツアー94勝)を挙げた尾崎将司さんが23日、S状結腸がん(ステージ4)のため、死去した。78歳だった。

 私がゴルフ担当になった1992年にはすでにスポーツ界の大スターだった。飯合肇、東聡、金子柱憲らと「ジャンボ軍団」と呼ばれたゴルフ界の一大派閥を率い、オフには千葉県内の自宅グラウンドでともにトレーニングを積んでいた。

 中でもバレーネットを挟んで2組に分かれ、利き手とは逆の手に短いバドミントンのラケットのようなものでシャトルを打ち合うなど、さまざまなアイデアがトレーニングに組み入れられていたのを目にした。

 多才だった。趣味もいろいろ。ワインが大好きで自宅には高級ワインが収集されていた。

 ある日、東さんと雑談していた時のこと。トレーニング中の昼食を奥様が用意していることを知った。東さんは「『東くん、今日のカレーおいしかったでしょ?』と聞いてくるから『おいしかったです!』って言ったんだよ。そうしたら『だってロマネ・コンティ入れたんだもの』って言われた」という。どうやら夫婦げんかして怒りが収まらない奥様がジャンボさんの秘蔵ワインをカレーに入れたということだった。ジャンボさんは見て見ぬふりだったという。

駆け出しの記者にとっては大スター過ぎてこわい存在だったが、思わずクスッとした。夫婦げんかもある意味、豪快だった。

 プレースタイルも豪快なドライバーショットが注目されがちだが、パット、グリーン周りからのショートゲームのうまさが際立っていた。勝利数が物語っている。豪快で繊細だった。そして本当に強かった。合掌。

 (1992~2002年ゴルフ担当・金沢 秀美)

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