物価高にコメ不足、クマ被害や初の女性首相誕生―。スポーツ報知では、今年を振り返る年末企画「プレーバック2025年」をスタート。

初回は社会面での記事の掲載回数や大きさをランキング化した「報知社会面大賞」。記事の大きさや掲載回数などをポイント化した結果、1位は石破茂前首相(68)、2位は高市早苗首相(64)が続いた。政治ジャーナリストの田崎史郎氏(75)は石破氏の政権運営を「30点」、高市氏は「60点」と採点。新旧政権を分析した。

 2025年の政界は石破前首相の迷走劇から、初の女性首相の誕生や公明党の連立離脱など激動の一年となった。「報知社会面大賞」でもベスト10のうち政治家が8人ランクイン。上位3位までを国会議員が独占したのは、民主党政権時代の2010年〈1〉小沢一郎元民主党代表〈2〉菅直人首相〈3〉鳩山由紀夫前首相(肩書は当時)以来となる。

 1位は高市氏の猛追を振り切って、10月まで首相を続けた石破氏に。田崎氏は参院選敗北後も迷走を続けた石破政権を「進退の美学の欠如」と厳しい評価を下した。

 石破政権は昨年10月の衆院選、今年6月の都議選、7月の参院選で大型選挙「3連敗」を喫した。即時退陣が求められる局面だったが、石破氏は1か月以上にわたって続投を模索。菅義偉元首相や小泉進次郎氏らの説得を受けるまで辞任を決断しなかった。

田崎氏は「今回のような居座りは歴代首相の中でも罪が重い」と断じる。政治空白がトランプ関税への対応など外交交渉における停滞を招いたとし、「参院選投票日の夜に身を引くべきだった」と述べた。

 さらに、退陣後も「党内野党」的な発言を繰り返している現状を疑問視。「小泉純一郎氏や安倍晋三氏ら歴代首相は退陣後、現職を尊重し、沈黙を守るのが常道だった」。現執行部を批判する前首相の振る舞いに、今後の党内融和を阻害する要因として挙げた。ある意味で「美学の欠如」ゆえに、連日その動向が各メディアで報道され、「社会面大賞」でも1位になったといえる。

 一方、公明党離脱・日本維新の会との連立という新たな枠組みで誕生した高市政権については、内閣支持率が7割前後を推移している点を高く評価した。維新との関係も「ガタガタしながらも、最終的には約束を守り安定している」と合格点を出した。

 しかし、外交と経済には暗雲が垂れ込める。台湾有事を巡る自身の国会答弁が引き金となり、日中関係は冷え込んでいる。「日本全体にマイナス」とし、出口の見えない物価高と合わせ、政権にとっての「重い荷物」になると警鐘を鳴らした。

 来年上半期の注目点として、国会議員の定数削減を挙げた。

政策面ではスパイ防止法など、いわゆる「高市カラー」を前面に打ち出すと予測する。トランプ米大統領とのハグや、自身の持病や睡眠不足といった弱みをあえて公表する「高市スタイル」について、「従来の自民党政治家にはない『素の自分』をさらけ出す手法が、国民に『政治が変わった』という印象を与えている」と分析した。

 高い支持率に支えられる高市首相は物価高など山積する課題をどう乗り越えるか。2026年はその真価が問われる年となる。

 「回数」「大きさ」を独自にポイント化 ◆報知社会面大賞 2005年スタート。スポーツ報知社会面が伝えた人物の「登場回数」「記事の大きさ」を独自にポイント化する。1面は20ポイント、最終面は10ポイント、社会面トップ記事は5ポイント、トップに次ぐ記事は2ポイントで集計。史上最多は18、20、23、24年に受賞した将棋・藤井聡太の4回。

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