人気脚本家で、女性で初めて大相撲の横綱審議委員会委員を務めた内館牧子(うちだて・まきこ)さんが17日、急性左心不全のため死去した。77歳だった。

関係者によると、体調を崩し入院していたという。葬儀は近親者で行った。来春にお別れの会を予定している。NHK連続テレビ小説「ひらり」(92年)や大河ドラマ「毛利元就」(97年)の脚本を務めたほか、10年間務めた横審では横綱朝青龍への舌鋒(ぜっぽう)鋭い批判で話題に。近年まで執筆など精力的に活動していた。

 * * * *

 相撲担当だった私にとって、内館さんは横審委員として鋭く角界を叱咤(しった)していた印象が強い。22年には、スポーツ報知東京本社の両国移転を記念した企画で、インタビューする機会に恵まれた。

 対面から急きょ電話取材に変更となったが、開口一番でおわびをいただいた。あれだけの文化人でありながら、気さくな人柄に驚き恐縮していると、次の瞬間から1時間近くも相撲トークが止まらず。“天敵”朝青龍には「頭のいい人で、力士としてすごく買っていたが、外国の伝統文化で禄(ろく)を食(は)んでいる(給料をもらって生活している)意識は感じられず、断じて許せなかった」と切れ味抜群だった。

 ただ、辛口なのは相撲を心から愛し、伝統を大切にしていたからこそ。横審委員就任後に相撲史への知性をさらに得るため、東北大大学院に入ったほど。

本場所15日間中13日間も通い、ノートに寸評などをつけていたといい、委員の任期10年を「夢中で過ごした」と振り返った。祖父が報知新聞の記者だったこともあったそうで、勝手ながら縁も感じていた。願わくばもう一度、お目にかかりたかった。心よりご冥福(めいふく)をお祈りします。(2010~15年、21~24年相撲担当・三須 慶太)

編集部おすすめ