人気脚本家で、女性で初めて大相撲の横綱審議委員会委員を務めた内館牧子(うちだて・まきこ)さんが17日、急性左心不全のため死去した。77歳だった。

関係者によると、体調を崩し入院していたという。葬儀は近親者で行った。来春にお別れの会を予定している。NHK連続テレビ小説「ひらり」(92年)や大河ドラマ「毛利元就」(97年)の脚本を務めたほか、10年間務めた横審では横綱朝青龍への舌鋒(ぜっぽう)鋭い批判で話題に。近年まで執筆など精力的に活動していた。

 脚本家・作家として人物の内面のリアリティーを描き続け、横審委員としてはダメなものにはダメとハッキリものを言う。エネルギッシュに生き続けた内館さんが、生涯を閉じた。

 近年まで活動を続け、2022年には本紙のインタビューに応じるなど、元気な様子を見せていた。最近になり、体調を崩し入院していたという。葬儀は近親者で行った。

 秋田県生まれ、父の転勤で4歳から新潟県、9歳から東京都で育った。武蔵野美術大を卒業後、三菱重工で13年半のOL生活を送る傍ら脚本家を志した。

1988年、40歳のときに日本テレビのドラマ「バラ」で脚本家デビュー。90年のTBS系のトレンディドラマ「想い出にかわるまで」や、92年開始のNHK連続テレビ小説「ひらり」や、97年の大河ドラマ「毛利元就」など名作を執筆した。

 作家としても、「高齢者四部作」と呼ばれる「終わった人」「すぐ死ぬんだから」「今度生まれたら」「老害の人」がベストセラーに。24年には故郷・秋田の劇団に新作ミュージカルを書き下ろすなど、近年も精力的に活動を続けてきた。

 大の好角家として知られ、2000~10年に、女性として初めて横綱審議委員会の委員を務めた。在任期間中に勃発した朝青龍の仮病事件では「やっていることが女々しい」とカツ。時津風部屋の暴行致死事件などに対しても弁舌鋭く追及した。大阪府の太田房江知事(当時)が優勝力士への賞の授与を土俵上で希望し、日本相撲協会が拒否した問題では「伝統を守る当然の判断」と協会の姿勢を支持した。03年には東北大大学院に入り、宗教学として大相撲の女人禁制について研究。東北大相撲部の監督も務めた。

 22年の本紙のインタビューでは「いじめられっ子だった私をいつも助けてくれた男の子がいたんです。今思えば、力道山に似ていた」と相撲好きのきっかけを披露。

「かつての『潜航艇・岩風』『人間起重機・明武谷』『褐色の弾丸・房錦』など、あだ名が付く技を持つ力士は必須です」と相撲界の将来に注文を付けていた。

 ◆内館 牧子(うちだて・まきこ)1948年9月10日、秋田市生まれ。武蔵野美術大卒業後、88年に脚本家としてデビュー。テレビドラマで「ひらり」「都合のいい女」など。19年に旭日双光章受章。

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