【リヤド(サウジアラビア)26日=勝田成紀】「THE RING V:ナイト・オブ・ザ・サムライ」の前日計量が行われ、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥はリミットより200グラム軽い55・1キロでパス。スーパーバンタム級転向初戦に臨む中谷潤人ら出場全選手が一発でクリアした。

次戦は来年5月、東京ドームで尚弥と中谷の夢の対決が計画されていたが、フェザー級に転向して日本男子初の5階級制覇を目指す仰天プランが新たに浮上した。

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 尚弥の口から、いきなり仰天プランが飛び出した。「(大橋)会長いわく、来年5月にフェザー級も考えていると。中谷戦もちょっとどうなるか分からないとか言われてるんですけど。フェザー(級)もあり得るかもよとか、準備しとけよって言われてるんですよ」。サウジ入りしてから、大橋秀行会長(60)から突然告げられたという。

 今年3月の年間優秀選手表彰式で、尚弥が「中谷君、1年後に東京ドームで日本ボクシングを盛り上げよう」と電撃オファー。中谷も「やりましょう」と呼応し、来年5月のドーム決戦が有力になっていた。今回、サウジのリングで両雄が初めて同じリングに上がり、ドームでの対決へと突き進むはずだった。

 一方で、フェザー級に転向して5階級制覇を果たせば日本男子初、世界でも史上9人目の偉業となる。「詳しくは聞いてないですね。まだ仮定の話。

まだ明日も試合終わってないし」とした上で、「自分としては中谷戦も盛り上がるし、5階級制覇も盛り上がる。どちらにせよ自分は準備するだけなので」と大舞台でのビッグマッチを歓迎する考えだ。大橋会長は「(中谷に)挑戦を受けるより(フェザー級王者に)挑戦したい、という思いが強い」と尚弥の胸中を代弁した。

 勝てば世界戦27連勝。歴代最多25度防衛を果たした伝説のヘビー級王者ジョー・ルイス、50戦全勝で世界5階級を制覇したフロイド・メイウェザー(ともに米国)を抜き、単独史上最多記録となる。英大手ブックメーカーの「ウィリアムヒル」は、尚弥勝利に1・02倍、ピカソ勝利に13倍のオッズを設定。前戦9月の「キャリア最大の強敵」アフマダリエフ(ウズベキスタン)戦では尚弥勝利が1・10倍だったが、ピカソ戦はほぼ“元返し”となる超鉄板の大本命予想となった。

 計量では、極限まで仕上げたボディーを披露。フェースオフは約55秒にも及び、「ピカソ」コールかき消す「ナオヤ」コールがわき起こった。今回使用するグラブとトランクスに合わせ、髪を新たに薄いピンクに染めた。「明日は色々と記録のかかる試合なので、めちゃめちゃ気合が入ってます。必ず僕が勝ちたいと思います」。

ボクシングの新・聖地サウジのリングに、いよいよモンスターが上陸する。

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