ミュージカル「エリザベート」はチケット入手が困難で知られる人気作。日本初演(96年)から30年を記念したスペシャル・ガラ・コンサートが来年2、3月に東京と大阪で開催される。

宝塚の元雪組トップスター一路真輝も出演。初演時に主人公トートを演じたレジェンドだ。

 「トート役の説明はいまでこそ“黄泉(よみ)の帝王”と言われますが、最初のころは“死神”と。この作品は私のさよなら公演でもあったので宝塚番の記者の方々も心配されて。『死神が最後で本当にいいのか』とか。幕が開く前から賛否があり、失敗は絶対に許されないプレッシャーを感じましたね」と懐かしむ。

 演出の小池修一郎氏との会話を回想する。「小池先生も重圧を抱える中、ご覧になる方に自分と共感するものがあれば、日本のミュージカルはヒットする、と。日本で誰もが知る『渡る世間は鬼ばかり』の嫁姑関係にも通じるものがある、ともおっしゃっていて」これは「エリザベート」で対立する皇后と姑ゾフィーのことを指す。

 「うまくいったから、いまこうやって笑って話せますけれど。もしあのまま撃沈していたら…。いまもたまにそんな夢を見ることがあるんですよ」。

雪組での成功は、他組でも出来る勇気を与えた。宝塚だけでなく東宝でも再演が繰り返され、一路はエリザベートも演じた。大功労者だ。

 「私の方が感謝です。この作品のおかげでいまの私がある。もし『エリザベート』との出会いがなければ(女優の)私はないでしょう」。一路の出演は2月16日。96年「2・16」に兵庫・宝塚大劇場で日本初演は始まった。「この日はやっぱり私の運命を変えた日。初演時を知らない若い人、当時を知る方。ともにガッカリさせるようなことのないコンサートにしたいと思います」(内野 小百美)

 〇…一路の出演日には高嶺ふぶき(フランツ)、香寿たつき(ルドルフ)、朱未知留(ゾフィー)らの初演メンバーが当時の役で登場するのも話題。公演の別日はOGの配役や演出などさまざまな歴代バージョンで上演される。

東京・国際フォーラムホールC(2月6~20日)、大阪・梅田芸術劇場メインホール(同28日~3月15日)で行われる。

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