12月28日の阪神12R・カウントダウンS(芝1200メートル=10頭立て)で、田中健騎手=栗東・中村直也厩舎=が現役ラスト騎乗を終えた。昨年のチューリップ賞から12戦連続のコンビだったイツモニコニコ(牝4歳、栗東・浜田多実雄厩舎、父ビッグアーサー)に騎乗。

家族が見守るなか、体を目いっぱい使って手綱を押し、気持ちを乗せた。ゴール前で見事に首差で差し切り勝ち。検量室前では大きな拍手で迎えられた。

 昨年4月に逝去した藤岡康太さんは同期。康太さんが現役時代に着用していたレギンスを履いてラストライドに臨んだ。「康太がここで見てくれていたかと思います。最後勝つことができたのも、あいつのおかげかなと思います」と思いをはせた。2007年に栗東・浅見秀一厩舎からデビューし、JRA通算3645戦162勝。2010年のファンタジーS(マルモセーラ)で重賞初勝利を挙げ、アンバルブライベンで2014年の京阪杯、2015年のシルクロードSを制した。

 レース後には同期の浜中俊騎手、荻野琢真騎手らから花束が贈呈され、家族、ジョッキー仲間と記念撮影。最後は胴上げで8回宙を舞い、笑顔でターフに別れを告げた。「最後、きれいな形で終われて本当に良かったかなと思います。

長いこと(騎手を)やらせてもらったのも、デビューさせてもらった浅見(秀一)先生、木原(一良)先生、川村(禎彦)先生の3人、今までたくさん乗せてくださった関係者のおかげかなと思います」。3人の恩師の名前を挙げ、感謝の言葉で19年間の騎手生活を振り返った。

 引退後は現所属の中村厩舎で調教助手に転身する。「変わらず競馬界で働くので、来年からもまた違う形で頑張れたらと思います」と決意を新たにした。

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