巨人・阿部慎之助監督(46)が28日、来季の全ポジションでレギュラー白紙を明言した。2年ぶりのリーグVを目指す上で「横一線で、いい競争をしてほしい」と促した。

岡本がメジャーに挑戦する一方、ダルベックや松本剛ら新戦力が加入。今季、遊撃でベストナイン&ゴールデン・グラブ賞を獲得した泉口であっても当確ランプをともさずに全位置で競わせる。「若い選手でも出てきたら使いたい」と若手も積極的に起用する意向を示し、実績や経験にとらわれないフラットな視線でサバイバルを見極めていく方針だ。

 リーグ3位からの巻き返しを期す26年へ。阿部監督は来季のレギュラーについて問われると、引き締まった表情で口を開いた。「もう本当、横一線で、みんないい競争をしてほしいなっていうのはありますよね」。今季、遊撃のベストナイン&ゴールデン・グラブ賞を獲得した泉口であっても“当確”を与えず、全選手をフラットな視線で見直すことを明言。春季キャンプからサバイバルがスタートする。

 捕手は今季岸田が最多68試合で先発マスクをかぶったが、甲斐との勝負が基本線。外野は今季終盤、左翼・丸、中堅・キャベッジ、右翼・中山が基本の布陣だったが、日本ハムから松本剛が加入し競争は激化する。夏場以降に存在感を示した佐々木らもおり、来春にどれだけアピールできるかで開幕の顔ぶれも変わってきそうだ。

 内野にも聖域は与えない。

「尚輝(吉川)も手術明けだからね、わからないし」とオフに両股関節の手術を受けた正二塁手の吉川は開幕に間に合うか不透明で、門脇や浦田には好機。正三塁手の岡本もメジャー移籍濃厚だ。その中で一、三塁が本職のダルベック(前ロイヤルズ傘下3Aオマハ)が加入し、坂本やリチャードもひしめく。遊撃は泉口が最有力だが、レギュラーと明言しないことで、高卒2年目となる石塚らの意欲もかき立てられるはずだ。

 実際に若手にも出場機会を与える方針を持つ。「もちろん若い選手でも出てきたら使いたいですし。チャレンジはさせたいんで。起用はどんどんしていくと思いますよ」。今季も若手に好機を与えてきた阿部監督。中山や泉口が輝きを放った一方で、なかなか期待に応えられなかった若手が多かった現実もある。チームの底上げには若手の奮闘も不可欠。高卒4年目となる浅野らにも可能性は存分にあるだけに、首脳陣の目に留まるものを示し続けたいところだ。

 総力を結集させて2年ぶりのリーグVと14年ぶりの日本一を達成したい来季。レギュラーへの競争が激化すればするほど、チームとしての厚みは増していく。(田中 哲)

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