◆全国高校ラグビー1回戦 松山聖陵36-0東海大静岡翔洋(28日・花園ラグビー場)

 1回戦が行われ、東海大静岡翔洋は松山聖陵(愛媛)に0―36で敗れた。体格で勝る相手FW陣に押し込まれ、左足首骨折から復活したFB小林陽向(ひなた、3年)がPGを狙ったが、3度とも失敗した。

県勢の初戦敗退は2020年度大会で翔洋が秋田工に0―68で敗れて以来5年ぶり。無得点での黒星も、それ以来だった。

  スタンドから「翔洋、意地を見せろ!」と声援が送られたが、ゴールラインが最後まで遠かった。ほとんど敵陣に攻め込めないまま60分間が終わり、メンバーは肩を落とした。

 ロースコアに抑えて勝機をつかむ。そんなゲームプランを「遂行してくれた。粘り強く守ってくれました」と津高宏行監督(42)。その言葉通り、開始1分に先制トライを許しても選手たちは前を向いて戦い続けた。FWの平均体重が12キロ上回る相手に果敢にタックル。同4、7分と2度のスチール(ジャッカル)も成功させた。

 しかし、それで得たPGを小林陽が決められなかった。1年時からキッカーを務めてきた背番号15は、2週間前の練習試合で左足首を剥離(はくり)骨折。

「絶対に花園に間に合わせる」とリハビリに励み、26日の練習で完全合流したばかりだった。「うちの1番手」と送り出した監督の期待にフル出場で応えたが、前半24分のPGも失敗。試合後は号泣した。

 負傷者は小林陽だけではなかった。SO細野旦光(あさひ、3年)は11月の県決勝で左足首を捻挫し、2週間前に復帰したばかり。プロップ水野信太郎(3年)も2度の右肩脱臼から、ようやく今週合流。チームは傷だらけの状態だった。

 目標に掲げていたベスト16には届かなかったが、SHを1年生の村田虎汰朗が務めるなど、この日のスタメンのうち5人が下級生。花園で経験を積めたことは大きい。水野は「このピッチに来年帰ってきて、いい成績を残して」と今後を託していた。(里見 祐司)

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