◆第71回東京大賞典・G1(12月29日、大井競馬場・ダート2000メートル)

 年末恒例のダートの大一番、第71回東京大賞典・G1は29日、大井競馬場で15頭(JRA7、南関東8。アラジンバローズは出走取消)によって争われ、7番人気で大井のディクテオン(矢野貴)が断然人気のミッキーファイトなどを撃破してG1初制覇。

05年アジュディミツオー(船橋)以来、20年ぶりの地方所属馬の勝利で、陣営は来春のドバイ遠征プランを明かした。

 大歓声に包まれた直線で、ディクテオンが1番人気ミッキーファイトとの壮絶なマッチレースを制した。

 ナチュラルライズとナルカミの3歳馬2頭が主導権を握り、よどみないペースを刻むなか、五分のスタートからミッキーファイトを直後でマーク。3角から手応え良く先団を射程圏に入れると、先に抜け出した1番人気馬に外から並びかける。意地を見せ食い下がるミッキーファイトを、ゴール前でさらにひと伸びしてねじ伏せた。前走のコリアCで、地方馬として初めての海外ダートグレード制覇に続く偉業に導いた矢野貴は「想定よりいい位置で運べて、力を全部発揮することができた」と納得の表情。「陣営がうまく仕上げてくれて、ディクテオンが前向きになって、一生懸命走ってくれた結果です」とパートナーをたたえた。

 大井所属馬としては、95年からの中央交流前、93年のホワイトシルバー以来のVとなるが、その時に騎乗していたのが荒山勝騎手。32年の時を経て、調教師としての快挙達成となった。当初はJBCクラシックを予定も、状態を見てこのレースに照準を絞り「帰厩してからは思うような調教を積めたし、直線、叩き合いになった時はかわるかなと思って見ていました」と振り返った。ファーンヒルで今年のJBCスプリントを制すなど、JRA相手にも立ち向かえる馬を育てる厩舎力があるからこその勝利だった。

 今後は「短期放牧を挟んで、ドバイ・ワールドC(3月28日、メイダン競馬場)に行ければ」と、昨年東京大賞典を制し、今年はブリーダーズCクラシックも勝ったフォーエバーヤングも参戦予定のビッグレースで、さらなる高みを見据える。

来年は8歳を迎えながら、進化を続けるディクテオンが、再び世界で羽ばたく姿が待ち遠しい。(松井 中央)

 ◆ディクテオン 父キングカメハメハ、母メーデイア(父キングヘイロー)。大井競馬場小林分場・荒山勝徳厩舎所属のセン7歳。北海道安平町・追分ファームの生産。通算31戦11勝(うちJRA16戦4勝、海外1戦1勝)。総獲得賞金は4億6284万8700円(うちJRA8136万円、海外8482万8700円)。主な勝ち鞍は浦和記念・Jpn2、名古屋GP・Jpn2(ともに23年)、白山大賞典・Jpn3(24年)、コリアC・G3(25年)。馬主は(株)G1レーシング。

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