◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 プロ野球で球場が盛り上がるシーンの一つに登場曲がある。巨人なら、清原和博が使用していた長渕剛の「とんぼ」や阿部慎之助(現監督)のアース・ウィンド&ファイア「セプテンバー」はもはや代名詞。

現在では坂本勇人が使うGReeeenの「キセキ」で東京Dのファンが特別な盛り上がりを見せる。ただ、個人的に今季一番印象に残ったのは、赤星優志投手(26)が打席に入る際の登場曲にまつわる「謎」だった。

 楽曲はHOME MADE家族の「流れ星~Shooting Star~」。なのだが、打席に入るタイミングで歌が始まると、何の曲か分からないくらいの短さで終わってしまう。マウンドに上がるときは1分以上たっぷり流れるが、打者の登場曲の演奏時間は昨年から「10秒以内」に短縮された。それにしても、赤星のそれは「一瞬」しか聴けない。深い意図でも?という疑問が残っていた。

 本人はいたって冷静に分析した。「前奏があるのであのような感じになっていると思うんですよね」。イントロが声援でかき消されて、歌が唐突に始まる錯覚に陥っていたのだった。

 「僕の打席は誰も期待していないと思うので」と笑うが、そもそも曲がかき消されるほどの声援は、期待の証明。今季はプロ初完封を飾った5月23日・ヤクルト戦(東京D)で2点打を放つなど存在感も示した。

27年からセ・リーグにもDH制が導入されるだけに、来季が投手が打席に立つ最終年となる。果たして来年のBGMは…。「どうしようか考えたいと思います」。少し細かい注目ポイントだ。(巨人担当・田中 哲)

 ◆田中 哲(たなか・てつ)2020年入社。楽天、日本ハムを経て23年から巨人担当。

編集部おすすめ