史上初の九州対決となった決勝戦は、サガン鳥栖(佐賀)がソレッソ熊本(熊本)とのPK戦を3―2で制して全国7877チームの頂点に立った。0―0で前後半を終了。

10分間の延長戦でも決着がつかずPK戦ではサガン鳥栖のGK秋吉駿佑(5年)が好セーブ。14年連続16回目の出場の名門に初優勝をもたらした。2年ぶり2度目の優勝を狙ったソレッソ熊本は自慢の攻撃陣が不発に終わった。

 サガン鳥栖の最後のキッカー・古賀睦基(6年)がゴールネットを揺らした瞬間、荒木亮次監督は走り出していた。「アカデミーすべてのカテゴリーでタイトルを取ることができました。やっと歴史を変えることができました」

 今年で16回目の出場。これまでは昨年の3位が最高だったが、指揮官には自信があった。「私が監督に就任したのは2年前。昨年は3位。今春のチビリンピックでも決勝戦(柏レイソルにPK戦で敗れ2位)に行くことができた。手応えはありました」と振り返った。戦術面では今大会7得点のエース、網代時生(6年)を初戦から最終ラインの真ん中に据えたことが当たった。

攻守にわたってアグレッシブに動き、チームを頂点に導いた。

 5年生GK秋吉もPKを1本止めてヒーローになった。6年生にGKがいなかったという理由での大抜擢(ばってき)。来年の目標は「できれば身長が160センチ(現在は154センチ)ぐらいになりたい」。そのため大好きなカレーライスを3杯も食べることもあり、体格アップに努めている。(今関 達巳)

 ◆大会表彰

 ▽フェアプレー賞 サガン鳥栖

 ▽YKK努力賞 ソレッソ熊本

 ▽特別賞 サガン鳥栖

 ▽MIT ソレッソ熊本

 ▽得点王 福田海士(ソレッソ熊本)、東海林貫大(FCトリアネーロ町田)10得点

 ▽ゴールデングローブ&ブーツ賞 満永心粋(こいき、ソレッソ熊本) 

北澤豪(スポーツ報知評論家)「今大会は10番のポジションの置き方に特徴があった。これまではトップ下というイメージがあったが、ちょっと下がった位置から状況を見ながら、前向きで、ボールを受けながら出ていく。例えばサガン鳥栖の網代君は3バックの真ん中に入っていた。普通は両サイドが上がるが、網代君は真ん中から積極的に上がっていった。これは8人制サッカーの新たな仕組みで、今大会もレベルが高くなったという印象を受けた」

ソレッソ熊本 PK戦での敗戦にも広川靖二監督は「今年になって20回以上も対戦してますけど、今日は思ったより難しい試合になりました。あの圧力は他のチームには感じられなかった」と脱帽した。広川監督はこの大会で勇退し、来年からはチーム運営に専念する。

「ウチには若いスタッフがたくさん。彼らにもチャンスを与えないといけない。もしかしたら、もっと強いチームをつくるかもしれない」と笑顔で話していた。

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