◆第104回全国高校サッカー選手権 1回戦 鹿島学園(茨城)7―0新田(愛媛)(29日、駒沢陸上競技場)

 15試合が行われ、3大会ぶり12度目の出場の鹿島学園(茨城)が、新田(愛媛)を7―0で下し、県勢45大会ぶりの優勝へ大勝発進した。J1で鹿島、J2では水戸が優勝し、サッカー界で今季の主役となった茨城県の代表として旋風を巻き起こす。

奈良育英は矢板中央(栃木)を2―2で突入したPK戦3―2で制した。仙台育英の辞退で繰り上がり出場となった聖和学園(宮城)は那覇西(沖縄)に3―0で勝利。31日に2回戦16試合が行われる。

 サッカー界に巻き起こった“茨城旋風”が、鹿島学園の選手たちにも勢いを与えた。県勢最多得点タイ記録となる7得点の圧巻のゴールショーで初戦を突破。途中出場で2得点のFW酒井束颯(つかさ、3年)は「今、茨城が熱いんで。みんなサッカーが好きなので、俺らもやってやろうという気持ちです」と言葉に力を込めた。

 茨城県勢が今季の主役だ。J1で鹿島が9年ぶりに優勝を果たし、J2では水戸が初優勝&初昇格。さらに全日本大学サッカー選手権では筑波大が頂点に立ち、高校年代の鹿島ユースも3冠を達成した。鈴木雅人監督(50)は「うちはそこまでではないですけど…一歩一歩、地道に懸命に戦った結果、上(優勝)につながってくれたらいいかな」と謙遜するが、DF中川がセットプレーから先制点を含む2得点、エースFW渡部にもゴールが生まれ、途中出場の酒井が複数得点。強い勝ち方だった。

 同年代の鹿島ユースの選手は鹿島学園に通学しており、優勝するたびに学内では話題に上がった。鈴木監督も「同じクラスに(年代別)代表がいたり、刺激になっていると思う。体育のサッカーの授業では結構バチバチにやってます。ハイレベルな授業です」と言う。鹿島ユースへ昇格出来なかった酒井も「見返してやろうという気持ちがある」と力へと変えた。

 最高成績は2008年度の4強で、日本代表のエースFW上田綺世を擁した16年度は2回戦敗退。昨夏には練習参加した上田からエールを受けた。1980年の古河一以来、45年ぶりとなる県勢Vへ期待も高まる。「ここで俺たちも優勝して、もっと茨城を盛り上げたい」と酒井。2026年も茨城が主役になる。(後藤 亮太)

 ◇茨城旋風 J1では鹿島が9年ぶり9度目の優勝。J2では水戸が2000年のJ2参入から史上最も遅い26シーズン目で悲願の初昇格で優勝も飾った。

大学サッカーでは筑波大が全日本大学選手権で9年ぶり10度目V。鹿島ユースはクラブユース選手権U―18、Jユース杯に加え、プレミアリーグ東西王者の優勝決定戦も制して3冠を達成した。

 ◆過去の主な大量得点 首都圏開催となった76年度大会以降、1試合での最多得点は09年度の神村学園(10〇2)と11年度の北陸(10〇0)が記録した10点。最多得失点差は11年度の北陸で10点差。今大会の1回戦では、9会場16試合で計61得点が生まれた。

 ◇鹿島学園 茨城県鹿嶋市に1989年に創立された私立校。生徒数は773人(うち男子429人)。校訓は「確かな学力 豊かな人格形成 将来をみすえた国際理解」。サッカー部の創部も同年で、部員数は109人。主なサッカー部OBに上田絢世(フェイエノールト)、主な卒業生には鈴木優磨(鹿島)、町田浩樹(ホッフェンハイム)らがいる。

編集部おすすめ