白毛のアイドルホースは、引退した今も相変わらずの人気ぶりだ。北海道苫小牧市のノーザンホースパークで功労馬としてけい養されているハヤヤッコ(セン9歳)は、“第二の馬生”でも注目を浴び続けている。

同園の乗馬運営課の田澤直沙美さんは「今は冬毛がすごく伸びて、顔も真っ白になってかわいらしくなっています。ほぼ毎日、ハヤヤッコを目当てに来る競馬がお好きなゲストが常にいらっしゃっています」と、うれしそうに語る。

 G1・3勝のソダシはいとこにあたる白毛一族。19年のレパードSで白毛馬初のJRA重賞Vを果たし、24年のアルゼンチン共和国杯など重賞3勝を挙げて、芝、ダートを問わず活躍した“二刀流”としても話題を集めた。今年6月の目黒記念のレース中に右前浅屈腱不全断裂を発症して引退を余儀なくされたが、その後は患部の治療や去勢手術を経て、8月下旬から一般見学がスタート。「ケガがケガだけに完治という表現がおそらくできないと思いますが、ずいぶんと回復して日常生活を過ごすうえでは何も問題がないように見えています」(田澤さん)と、元気に日々を送っている。

 現在は朝に軽い運動をした後、来園者が見学できるパドックや厩舎でのんびりと過ごしている。激しかった性格もすっかり落ち着いてきており、馬と直接触れあったりすることができるイベント「サラブレッドガイド」にも年明け1月から登場して、来年4月以降の夏季営業からはパレードリンクでの展示など積極的に参加者と交流するプランが練られている。

 オリジナルグッズの売り上げも好調で、見学開始を記念してレストランで発売した優勝レイをイメージしたオマケ付きのヒヤヤッコ(冷ややっこ)は、1か月で1000個も売れたという。同園の企画・広報室の佐藤ひささんは「本当に反響は大きいです。本物のハヤヤッコに会いに来ることが特別な体験になると思いますので、ぜひ足を運んでいただきたいと思います」とアピールする。馬の魅力を広める“アンバサダー”として、これからも特別な存在であり続ける。

(坂本 達洋)

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