◆プロボクシング スーパーライト級(63・5キロ以下)6回戦 〇菊池音央(6回50秒TKO)倉持廉汰●(12月31日、大田区総合体育館)

 人気アイドルグループ「timelesz」の菊池風磨の弟・音央(ねお、22)=志成=が倉持廉汰(22)=本望=を6回50秒TKOで下し5連勝。A級(8回戦以上)昇格も決めた。

戦績は菊池が6勝(4KO)2敗、倉持が4勝(1KO)3敗2分け。

 赤コーナーで、赤い髪、赤いトランクス、赤いグローブを身につけた菊池。初回、カウンターの左フックを食らいバランスを崩すピンチ。「焦ったのと、運動神経いいなと思った。インターバル中に映像を見て、よく耐えたなと思って」。2回も右を浴び、腰を落とした。しかし3回以降、左ボディー、右フックで攻勢に転じた。最終回、左フックをクリーンヒット浴びせたところでレフェリーが割って入り試合をストップ。赤コーナーに飛び乗って雄叫びをあげた。

 勝負を決めた左フックは、ジムの先輩の元WBCフライ級王者・比嘉大吾(30)=志成=の金言がヒントだったという。

 「比嘉さんのアドバイスで『キツくなったら目をつぶって振り回せ』って。目をつぶりながら相手を見ずに振ったら、終わってたんで。

比嘉さんはみんなにそう言ってるらしいですけど、実行したのはオレだけらしいです。比嘉さんは『俺アドバイスしたっけ? 本当に信じてるやついるんだ』って笑ってました」

 「菊池風磨の弟」ではなく、「菊池音央」であることを証明する。「ずっと思っているのが、自分を証明したいっていうことです。ずっと兄の弟って言われ続けてきている。小さい頃から、友達とか恋人に紹介される時は絶対僕の名前の前に兄の名前が来る。ずっと何かモヤモヤしていた」と偉大な兄を持つ自身のアイデンティティーに悩んでいたという。

 「その時に(木村)吉光さんとか野木(丈司トレーナー)さんとか比嘉さんに会って。もうあの人達っていい意味で何も考えてなくて、そういうのを全然気にしないで僕だけを見てくれている感じがして。それがもう本当に嬉しくて何か生きている心地がするっていうか、自分をちゃんと見てくれてると思って。もっとボクシングを好きになった」

 だからこそ、王者を目指す。「誰かの弟だからチャンピオンになれるわけじゃないじゃないですか。誰かの弟じゃなくて、チャンピオンになって僕を証明したい」。

リング上で「菊池音央」として輝いてみせる。

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