将棋の藤井聡太六冠(23)=竜王、名人、王位、棋聖、棋王、王将=が年男として迎えるデビュー10周年での八冠返り咲きへ、静かに闘志を燃やした。このほど報道各社の合同インタビューに応じ、プライベートでのAIとの向き合い方や、鉄道マニアとしての珍目標も語った。
藤井は23年に史上初の全八冠を制覇したが、一昨年は叡王戦、昨年は王座戦で同い年の伊藤匠二冠(23)にタイトルを奪われた。
「私としては、八冠と失冠は同じぐらい印象に残る出来事だったと感じています。今の段階でなかなか八冠(返り咲き)を意識するのは難しいですが、やはり実力を上げるということによって近づくことができるものだと思います」
16年のデビュー当時は“完璧さ”を追究していた。だが、たどり着いたのは「厳密な意味での完璧さというのは、実際にはない」という真理。年男は自身が「揺らぎ」と表現するインスピレーションを大切にする。
「当時は完璧な将棋を指したいという気持ちが結構あったのかなと思います。ただ将棋は、あらゆる局面で唯一の正解手があるというものではない。最近は完璧というより、面白い将棋を指したいと捉えるようになっています」
面白いといえばAI。将棋の研究はもちろん、プライベートにも活用している。
「壁打ち(AIとの対話)というか…。AIとあるテーマについて話をして、自分自身の考えを整理するということもあります。あとはAIにコーディング(プログラミングでソースコードを書く作業)をしてもらって、将棋に関するツールを作成したりとか」
昨年はJR西日本の特急やくもを視察したり、北海道の対局場に鉄路で向かうなどして大いに“鉄分”を吸収した。
「2025年も趣味の鉄道について、いろいろと貴重で楽しい経験ができたと感じています。以前(23年5月)、三陸鉄道の宮古駅で、気動車の運転体験というのをさせていただきましたが、(今年は)どこかで電車の運転も一度、体験できたらなということも勝手に考えています」
棋士デビュー以来、後手番の2手目では常に飛車先を突く△8四歩で応じてきたが、昨年3月の王将戦第5局で初めて角道を開ける△3四歩を突いた。トップランナーは変化を恐れずに、極みへの“電車道”を走り続ける。(田中 昌宏)

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