大みそかの「第76回NHK紅白歌合戦」で、綾瀬はるかは表情豊かな司会ぶりを見せてくれた。言い間違いさえも見せ場に変えてしまう唯一無二のキャラクターは健在。

40歳とは思えないスタイルと衣装でも視聴者をくぎ付けにした。

 “究極の大トリ”を飾った松田聖子の登場シーンでは「いつも輝かれている。歌声を聴かせていただけるのはとてもうれしい」。9月には作詞家・松本隆さんの活動55周年コンサートに駆けつけて松田の「瞳はダイアモンド」「赤いスイートピー」を歌唱したこともあり、実感がこもっていた。

 一転して、被爆地・長崎を思う福山雅治の歌唱前には、自身と同じ広島県出身の有吉弘行と並び「祖母から戦争の恐ろしさを聞いて育ちました」とシリアスな表情に。太平洋戦争の関連番組で被害者に聞き取りを重ねるなど、20年近く戦争取材をしてきた綾瀬。短いコメントにも説得力があった。

 綾瀬の一回り下で初司会の今田美桜は硬さもあったが、終始落ち着いていた。本番前日のリハーサル会見ではいささかお行儀が良すぎる印象だったが、朝ドラ「あんぱん」のスペシャルステージはまさに主役の貫禄。アンバサダーを務めた「東京世界陸上」で話題になった“七変化”を、できれば次の年末も見てみたい。

 惜しかったのは、曲と曲との微妙な間や不安定なカメラワークが目立ったこと。番組テーマが「つなぐ、つながる、大みそか。」だっただけに、細部のつながりも大事にしてほしかった。

(堀北 禎仁)

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