本年も当コラムをよろしくお願いいたします。
新年最初の金ロー(後9時)は、カレンダーの都合で2日の放送に。
ちなみに、新春の同作品の放送は恒例。22、24年も年明け最初の作品だった。前回は「君たちはどう生きるか」(23年)が米アカデミー賞で本作以来となる長編アニメ映画賞獲得への”前祝い”になるか? という中での放送だったが、見事に21年ぶりとなる快挙。それからもう2年もたったのか…と思うと、時間の過ぎるのは実に早い。
ストーリーに関しては、もはや今更という感もあるので、今回は全く異なる角度から。同作の舞台となる湯屋「油屋」について触れてみたい。千尋がやがて働くことになる八百万(やおよろず)の神々が集う「油屋」は、モデルとされた特定の建物があるわけではない。美術監督の武重洋二氏によると、特に内装で最も参考にしたのは昨年10月以降は休館となっている東京・目黒雅叙園だったという。
一方で、外観に関しては明言はされていないが、「モデルになっているのでは?」と言われている中でよく知られるのが、松山市にある日本最古の温泉とも言われる道後温泉の「道後温泉本館」だ。約130年の歴史がある建物は2024年に約5年半にわたる保存修理工事を終え、現在は多くの観光客を迎えている。
そんな中、参考にされた”候補”の一つと言われている群馬・四万温泉の「積善館」に、記者は昨年12月、宿泊してきた。元禄4年(1691年)に建てられたという同宿の本館は、県の重要文化財にも指定されている建物。その前にかかる赤い橋「慶雲橋」と併せ、まさに映画の中に出てくる雰囲気そのままだ。また、館内にある別棟とをつなぐ通路は、作品のオープニングで千尋と両親が不思議な世界に迷い込んでいく際に通るトンネルをほうふつさせる。
夜になると現在は使用されていない本館の部屋がライトアップされ、その幻想的な風景をカメラに収めるために宿泊客以外も多くの人が集まっていた。もちろん、そのほとんどは本作をイメージして訪れた人たちなのだが、実はこの風景ができるには、「ある映画」が大きく関わっているという。
それが、吉永小百合主演の「天国の駅」(1984年)。吉永が殺人犯という初めての汚れ役を演じたことでも知られる同作で、同宿はロケ地の一つに選ばれた。その際に、宿の前にかかる橋を赤く塗り替えたという。もし、同宿がロケ地になっていなかったら、「油屋」のデザインは変わっていた…ということはないだろうが、興味がある方はそんなことも考えながら、ぜひ現地を訪れてほしい。日帰り入浴もできます。

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