AKB48が昨年のNHK紅白歌合戦に出場した。結成20周年の節目にOGの前田敦子大島優子らも集結し、「フライングゲット」「会いたかった」など代表曲を並べたメドレーを披露。

6年ぶりとなる大舞台を華々しく飾ったが、その裏では現役生たちの葛藤も垣間見えた。

 出場発表時は様々な意見が上がった。素直に祝福の声があった一方で、OGを集めたことで出場できたとする見方があったことも事実。現役生の力だけでつかんだ舞台でないことは、世間の共通認識だったように思える。

 その空気は、本人たちが最も感じ取っている様子だった。発表の翌日から日本武道館で歴代のOGも集めた20周年記念公演が開催されたが、現役生が紅白に関して言及した場面はなし。それどころか、総監督の倉野尾成美が涙ながらに悔しさをにじませたシーンが印象的だった。「私たちだけでは見ることができない景色を先輩方のおかげで見ることができたと思います。同時に、私たちはこのままで良いのだろうかとたくさん悩むこともありました」

 紅白のリハーサルを終えた後の会見でも同様。「大きな背中をたくさん見て、『頼もしいな』『かっこいいな』って思う反面、やっぱりちょっと悔しさが出たりとか、今までの活動では芽生えてなかった感情が新たに生まれたりしました」。先輩への感謝と敬意を口にすると同時に、率直な心境も漏らし続けた。

 正直、私はもっと喜ぶと思っていた。

OGの力があったからとはいえ、紅白に出場できたのは現役生がAKB48というグループを大切に守り続けてきたからこそ。多忙な活動を走り抜けてきたことに胸を張って良いと思うし、紅白をそのご褒美として考えるのも一つだと思う。それでも、現状を真正面から受け止め、向かい合う姿には深く感心させられた。

 昨年末をもって、OGとの活動はひと区切り。再び現役だけのAKB48に戻る。いろんなアイドルグループが混沌(こんとん)とする今、「最近のAKB48で知ってるメンバーがいない」「AKB48は終わった」という厳しい声も耳にする。だが、節目を機に得ることができた大舞台を、ただの集大成として終わらせなかった現役生にはそれを覆す力があるはず。悔しさを原動力に、もう一度AKB48が日本のアイドル界を席巻する姿を見てみたい。(松下 大樹)

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