昨年12月27日にサウジアラビア・リヤドで行われたボクシングの大型興行「ナイト・オブ・ザ・サムライ」で予定されていたIBF世界スーパーフライ級タイトルマッチが試合前夜に中止となった寺地拳四朗(33)=BMB=が2日深夜、羽田空港着の航空機で帰国。リヤドからドバイへ飛び、カウントダウンイベントなどを満喫し「楽しみました」。

6日に34歳の誕生日を迎える元世界2階級制覇王者は「34歳のスタートがなかなか複雑ですけど(苦笑)、まあこういう経験も後々いい思い出とか経験になるやろうし。次の試合がどうなるか分かんないですけど、この鬱憤を全力で晴らせるようにやっていきたいなと思います」と2026年の巻き返しを誓った。

 先月27日、3階級制覇を懸けてIBF同級王者ウィリバルド・ガルシア(36)=メキシコ=に挑戦する予定だった。両者とも同26日の前日計量をパス。しかしガルシアが公開計量後に体調を崩して陣営の独断で病院に駆け込み、脱水症状と診断されてドクターストップ。寺地は26日午後11時ごろ、試合中止を知らされた。寺地は明朝、ホテルの朝食会場でガルシアを見かけたという。「試合の日にいたんで、さすがにムカつきましたね。目が合ったら気まずそうな顔をしてましたね。なんやねん、ってなりますよね。しんどいフリでもしててくれよって。まあ、ドクターストップって言われたら、もうしゃあないんすけどね」と苦笑した。

 試合当日、寺地は試合前の公式行事でも着用していたサウジの民族衣装で試合会場に現れ、取材に対応。「落ち込んでもしょうがないんで。結構ポジティブではいたんですけど」と言葉を詰まらせ、「会場に来るとやっぱり色々と思いが…」と涙を見せた。リングサイドで、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(32)=大橋=、世界3階級制覇王者・中谷潤人(28)=M・T=らの試合を観戦。本来なら自分がそのリングで、3階級制覇を達成するはずだった。

 「最初は会場に行って控室で見ようと思っていた。さすがにしんどすぎて。1回帰ろうとも思ったけど、なんとか耐えて。会場に行くまでは全然結構平気だったけど、行ってからが結構きつかった。入場を見ると、やっぱ泣いちゃいました」

 WBA&WBC世界フライ級統一王者だった昨年7月、リカルド・サンドバル(米国)の挑戦を受け、ダウンを奪いながらも1―2の判定負け。2本のベルトを手放した。しかし直後に現役続行を決断。

スーパーフライ級を新たな戦いの場に選び、同級初戦でいきなり巡ってきた世界挑戦のチャンスだった。ガルシア戦に勝てば、次戦でかねてから対戦を希望していたWBA&WBC&WBO世界同級統一王者ジェシー“バム”ロドリゲス(25)=米国、帝拳=との4団体王座統一戦が実現する可能性があった。

 寺地陣営は今後、IBFに対し、改めてガルシアへの挑戦が実現するように働きかけていく方針だ。寺地をサポートする三迫ジムの三迫貴志会長は「我々としては当然、ガルシアとの試合を求めていくことになる。こちらとしては、当然やるべきことをやって準備をしてきたんだから、試合をさせて欲しいということだけ。我々としての主張は、これからも引き続きしていく。あとはIBFがどういう裁定を下すか、待つしかない」と説明した。寺地はIBFが定める当日計量も独自で行い、映像にも記録しているという。

 寺地は1か月ほど休養してから、再始動する予定だ。「人生甘くないなと思いますよね。人生何があるかわからないってことですね。結果、良かったなと思えるようになればいいなと。

僕の人生ってそういう感じやから、いい方には向いてくれるのかなと思ってます」と自身に言い聞かせるように話した。自身初の海外での試合はいったん流れたが、「結果、まだ試合をやってないんで。機会があれば、またサウジでやりたいなと思います」と前を向いた。

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