熱海市出身で、うま年生まれの年男の大相撲西前頭4枚目・熱海富士(23)=伊勢ケ浜、飛龍高出=が2026年の飛躍を誓った。戦後、静岡県勢初の三役を目指し、年始めの初場所(11日初日・両国国技館)を前に新年に懸ける思いを語った。

(取材・構成、塩沢 武士)

 新たな年を迎えて熱海富士が、熱い思いを胸に土俵に上がる。西前頭4枚目で迎える26年初場所。9月3日には24歳を迎える年男は、更に上の番付を見据えている。照準は三役昇進だ。

 「今年は番付的にも身体的にも精神的にももっと成長し、安心して(相撲をファンに)見てもらえるようになりたい」

 昨年は2場所連続負け越しのスタートだった。初場所で5勝10敗、春場所も6勝9敗と調子が上がらなかった。東前頭10枚目で迎えた名古屋場所では終盤まで優勝争いに加わり、11勝4敗と大健闘。幕内通算100勝をマークした秋場所では5勝に終わったものの、九州では8勝7敗で勝ち越し。浮き沈みの多かった25年だっただけに、26年幕開けの場所で勢いをつける。

 「昨年はまだまだいい相撲も、悪い相撲もあった。でも、悪いところはどこか自分では分かっているので直して、初場所に向かっていきたい」

 異文化に触れた昨年の経験を生かして今年は“粋”な男を目指す。昨年8月の大阪・関西万博で行われた夏巡業では空き時間に海外パビリオンのイタリア館を散策。

10月のロンドン公演では、英国市民から写真撮影を求められた。テムズ川沿いにある観覧車(ロンドンアイ)は行列と時間の都合で断念したが、「イッツ・ア・ロンドンアイ」(有名な大観覧車の名称)と思わず叫ぶなど興奮した。帰国後、思い出について問われると「英語」と答えた。

 「センキューというと、ウェルカムと返してくれるのがすごく“粋”だと感じた。僕は人見知りなんでシェイクハンドしたり、キスしたりというのも“粋”な英国紳士ともいえるのかなと思った」

 欧州渡航のお土産には紅茶を購入したという。人気テレビドラマ「相棒」で、水谷豊演じる杉下右京を真似しながら愛飲している男は、本場の紅茶も手に入れた。

 「コーヒーもカフェオレも飲めないけれど、紅茶は飲んでいるうちに好きになった。右京さんも“粋”ですからね」

 先月18日には磐田巡業に参加して地元からパワーをもらった。高校の先輩でもある兄弟子の翠富士(29)と共に朝から握手会に顔を出して静岡の相撲ファンとひとときを過ごした。力士ふれあい会では、ちびっ子たちに胸を出した。

 「磐田には中、高の時に大会で来た思い出がある。大勢のファンに来ていただいてうれしかった」

 県出身の三役は番付上では1932年1月場所の関脇・天竜(場所は開かれず協会脱退)が最後。

戦後、三役を務めた力士はいない。熱海富士の東前頭筆頭が県勢の最高位だ。過去前頭3枚目以上の番付を計8場所務めているように実力的には、あと一歩のところまで来ている。

 「今年はさらに、上を目指して頑張りたい」

 “粋”な男を目指すうま年の熱海富士が、新三役へ駆け上がる。

 

 ◆熱海富士 朔太郎(あたみふじ・さくたろう)本名・武井朔太郎。2002年9月3日生まれ。熱海市出身。23歳。小6の時に、三島相撲クラブで相撲を始める。飛龍高から伊勢ケ浜部屋に入門。高3の2020年11月に初土俵。22年春場所で新十両。

同九州場所で新入幕を果たす。得意は右四つ、寄り。好きな食べ物はすし、お茶漬け、プリン。187センチ、195キロ。

 ◇県関連の主な年男、年女のスポーツ選手

 プロ野球界では、オリックスの紅林弘太郎内野手(駿河総合高出)が2002年2月7日生まれのうま年。そのほか、DeNAの森敬斗内野手(藁科中出、同1月28日生まれ)、巨人の宮原駿介投手(静岡学園高―東海大静岡出、同9月12日生まれ)、広島・二俣翔一内野手(磐田東高出、同10月21日生まれ)らがいる。Jリーガーではパリ五輪日本代表で、東京VのDF鈴木海音(ジュビロ磐田ユース出、同8月25日生まれ)が年男。昨年の世界陸上女子3000メートル障害で日本記録を樹立した斎藤みう(パナソニック)=伊豆中央高出=は今年の6月22日に24歳となる。

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