歌舞伎俳優の中村隼人が東京・歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」(25日千秋楽)夜の部「女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)」で2年ぶりに与兵衛役を演じている。

 衝撃的な殺しの場さえも美しく描く、近松門左衛門の作品。

松本幸四郎とのダブルキャストで与兵衛を演じる隼人は「お兄さんとダブルということで、うれしい反面、恐縮で不安もある。お兄さんとは違う与兵衛ができるように臨みたい」と気を引き締めている。隼人が出演するBプログラムでは、中村米吉がお吉役を勤める。

 与兵衛を当たり役にする片岡仁左衛門からは「お客様に嫌われてはいけない」と教わった。借金を拒絶され、油まみれになりながら凶行に及ぶシーンが見どころで「それまで震えていたのに落ち着いて、獲物を狙う爬虫類のようになって、快楽にふける。様式美として美しく殺しの場を見せられたら」。その上で「憎めなさが大事。憎いやつになると作品が成立しない。手を差しのべたくなる与兵衛でありたい」とイメージしている。

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