大相撲初場所(11日初日、東京・両国国技館)に向けた横綱審議委員会(横審)による稽古総見が5日、国技館内の相撲教習所で行われた。横綱・豊昇龍(26)=立浪=は関取衆で最多の17番。

苦手とする新大関・安青錦(21)=安治川=に7勝3敗と勝ち越し、昇進6場所目での初優勝へ存在感を示した。横綱・大の里(25)=二所ノ関=は小結・王鵬(25)=大嶽=らと11番も、大関以上の申し合いには加わらず調整に不安を残した。

 豊昇龍は収穫たっぷりの稽古総見を終え、上機嫌だった。琴桜(28)=佐渡ケ嶽=、安青錦の両大関との申し合い稽古で12勝5敗。報道陣から関取衆で最多の番数を聞くと「17番!? うわっ、取ったな!」と驚きの表情。「いろいろ試してみたけど、いい感じで稽古できた」と胸を張った。

 何よりも大きいのが、“天敵攻略”の糸口をつかめたことだ。先場所の本割と優勝決定戦で連敗するなど4戦全敗と大の苦手にしている安青錦に、この日は7勝3敗と勝ち越し。序盤は低い姿勢の相手を起こせず、懐に入られて寄り切られるなど苦しんだが、徐々に調子を上げた。鋭い立ち合いからもろ差しで一気に寄り切るなど4連勝締め。午(うま)年最初の稽古総見で馬力を発揮し「いろいろ確かめてみた。力強く、スピードもある相手と稽古できて良かった」と満足げに振り返った。

 見守った関係者も苦手を克服しようとする姿勢を評価した。横審の大島理森(ただもり)委員長(79)は「横綱の研究熱心さを感じた」と賛辞。八角理事長(元横綱・北勝海)も「番数を重ねるほど肩の力が抜けて、いい相撲だった。ようやく(安青錦に)勝つイメージができた」と評した。

 大関で優勝し、綱取りに成功した昨年の初場所から1年。豊昇龍は横綱としては抱けていない賜杯への意識について「もちろん! あるよ!!」と語気を強めた。「場所までにしっかり準備が進んでいる。いい感じにできると思う」。送迎の車に乗り込んだ後で安青錦対策の手応えを問われると、右手の親指を立ててサムアップポーズ。自信に満ちた笑顔を浮かべ、帰路に就いた。(林 直史)

編集部おすすめ