◆全国高校ラグビー 第6日(5日・花園ラグビー場) 桐蔭学園24―21大阪桐蔭

 準決勝が行われ、桐蔭学園(神奈川第1)が、大阪桐蔭(大阪第3)との“桐蔭対決”に24―21で逆転勝ち、史上6校目の大会3連覇に王手をかけた。4点を追う後半ラストプレーで6分間攻め続け、プロップ喜瑛人(よし・あきと、3年)が逆転を決める“サヨナラトライ”を挙げた。

チーム唯一の大阪出身の喜は地元でハットトリックの活躍。史上初となる大阪勢からの3タテを劇的勝利で飾った桐蔭学園は、京都成章(京都)との決勝戦(7日、花園ラグビー場)に臨む。

 まるで優勝したかのように、“東”の桐蔭フィフティーンは抱き合い号泣した。後半30分。ノーサイドまで残り6分超を休まず連続攻撃を繰り返した。あらがう大阪桐蔭の防御の壁を破ったのは3番の右プロップ・喜。劇的な“サヨナラトライ”を決めると体中に走る痛みと喜びを感じながらグラウンドに突っ伏した。「あれは僕の力なんかじゃない。みんなが(前に)出てくれたから、最後に取れただけ」。大阪桐蔭との直接対決で3連勝し、通算では6勝2敗とした。

 執念が勝利を呼び込んだ。後半26分、相手に逆転トライを許して4点ビハインド。

チーム唯一の大阪出身の喜は直後の円陣で「まだここはドラマの9話目や。(最終)10話目で、俺たちが逆転したらいい」と仲間を鼓舞した。

 ロスタイムの同31分、マイボールスクラムから始まった“ラストワンプレー”。プレーが途切れればノーサイドとなる中、13次攻撃から一度ボールが奪われたが、喜が接点に絡み再び奪い返す。敵陣22メートルに進入後、20次に及んだFW陣の魂のぶつかり合いは、最後に3番がこの日ハットトリックを決め決着した。「みんなが頑張ってくれたから。僕は、全部おいしいところもらっただけ」。涙を流しながら、白い歯を見せた。

 後半14分に主将のフッカー・堂薗尚悟が負傷交替。軸が抜けてもチームは慌てなかった。日々、1日数時間に及ぶミーティングで試合の仮説を立てる。主将が抜けることも当然想定。

堂薗と代わった木俣も、ゲームプランを頭にすり込んでいた。喜は「逆転されても、ラストプレーで(ボールを)持ち続けるというのは全てミーティングで話していた」と明かす。疲労で言葉数が少なくなる中でも「やりたいことを、暗黙の了解として持ち続けていた」と、チーム力は衰えなかった。

 関東の大学進学を目指し、桐蔭学園に進んだ喜が地元の大阪で躍動。決勝は、初優勝を目指す京都成章を迎え撃つ。ドラマは完結したように見えたが「番外編…劇場版ですね」と笑う喜。最後の肉弾戦で肩を痛めながら「出ます。やっぱり出ないと、劇場版は」と力強く腕をまくった。「一戦一戦、集中して積み上げた先に、優勝がある」。劇的フィナーレを超える最終章で、3連覇を飾る。(大谷 翔太)

 ◆喜 瑛人(よし・あきと)2007年12月15日、大阪市生まれ。18歳。

小学1年時に阿倍野ラグビースクール(RS)で競技を始め、5年時から中学3年まで芦屋RSでプレー。桐蔭学園では2年時からレギュラーに選ばれ、前回大会優勝を経験。ベンチプレス170キロを上げる。173センチ、100キロ。慶大に進学予定。

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