2025年12月25日に将棋の伊藤沙恵女流四段が女流棋士としての大一番に臨んでいた。男性の強豪棋士たちを次々に倒し、たどり着いた王位戦予選決勝。
記者室をあふれる数の報道陣が注目の一番を見守っていた。最後まで熱戦となった対局だったが、結果は敗戦。あと一歩届かなかった。終局後、「女流棋士人生で最初で最後かもしれない機会だと思うので自分の全てを出し切ろうと思った」と穏やかに話した伊藤。後日、「今年はいい年でしたよね」とほほえむ伊藤からは充実ぶりがうかがえた。
約50年の歴史を持つ女性の将棋プロ制度「女流棋士」は男女共通の将棋プロ制度である「棋士」とは違う。「女流棋士」と「棋士」はそれぞれ全く異なった条件でそこにたどり着く。「棋士」は男女ともになれるとされるプロ資格だが、歴史上まだその条件をクリアした女性はいない。
だが、棋士のトップクラスが戦う王位リーグ入りに伊藤があと1勝と迫ったように、近年の女流棋士の棋力の向上は目覚ましい。
そして、2026年は女流棋界にとって大きな転換点となるかもしれない。今月27日から福間香奈女流名人=清麗、女王、女流王座、女流王位、倉敷藤花=が2度目の棋士編入試験に挑む。
さらに、それだけではない。「白玲」のタイトルを通算5期獲得で棋士の権利を与える規定が25年6月に新設されたため、同タイトルをすでに4期保有している西山朋佳女流二冠=白玲、女流王将=が、今年の夏から秋頃に行われる予定の白玲戦七番勝負で防衛を果たせば、棋士となる権利を獲得できる。
長い長い将棋界の歴史の中でただのひとりもいなかった「女性棋士」が今年、一気に2人誕生する可能性があるのだ。
その重い重い扉をまさに今こじ開けようとしている福間と西山が戦うユニバーサル杯第52期女流名人五番勝負(主催・スポーツ報知など)が18日、島根県出雲市で開幕する。2026年を戦い抜く2人の対局に注目してほしい。(瀬戸 花音)

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