昨年、米国でバレーボール女子のプロリーグとして新設された「リーグ・ワン・バレーボール(LOVB)」のアトランタのコーチに就任したヨーコ・ゼッターランド氏が12日のオースティンとの開幕戦を前に、スポーツ報知の取材に応じた。2年目を迎えるゼッターランド氏は、日本バレーをベースに考えるブラジル人監督の下、「Kaizen」で初優勝を目指す。

(取材・久浦 真一)

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 LOVBは6チームによるリーグ戦で、28年ロサンゼルス五輪に向け、バレーを人気プロスポーツに定着させることを目指し昨年始まった。その1年目のシーズンは、ゼッターランド氏にとって、悔しい結果となった。リーグ戦を13勝3敗で1位通過しながら、6チームで行われたプレーオフは初戦の準決勝で敗退した。

 それだけに、今季は栄冠をつかみたい。「監督の考えていることをきっちりとアシストして、練習中でも『ここはもっとこだわろう』と積極的に選手たちに言っていきたい」。長年、世界のトップにいるブラジル代表のコーチを務めるパウロ・ココ監督の考え方を吸収するのに最初は戸惑ったが、1シーズンを経験し、理解が深まったという。

 今季を前にしてのミーティングの資料に驚いた言葉があった。「Kaizen(改善)」―。新たに加入したブラジル人コーチとともに、ココ監督が強調したのは「良く変えていくこと」だった。この首脳陣2人は、72年ミュンヘン五輪で日本を金メダルに導いた松平康隆監督から、基礎の多くを学んだという。08年北京、12年ロンドン五輪で連続金メダルを獲得し、現在もブラジルを率いるジョゼ・ギマラエス監督もその考えは共通している。

 「Kaizenという文字を見た時は感動しましたね。

日本のバレーをリスペクトしてくれている、と」。このベースを実践していくために、練習では基本が徹底される。特に、ボールコントロール。1対1の対面で始め、3人、4人、5人、6人と人数を増やし、ボール回しを繰り返す。「単純だけど、ずっと続けるのが難しい練習。日本が得意としている守りや、つなぎを大切にしないといけないという意識が強い」。昨年、ブラジル代表の試合を観戦した際、チャンスボールを相手に返す場面でも、しっかりとしたボールコントロールで、相手のウィークポイントを狙っていた。その正確さが、ブラジルの強さだと認識した。

 日本とブラジルのバレーを融合、さらにバージョンアップし、リーグの頂点を目指す。来季からは、ロサンゼルスなど3チームが加わり、リーグは拡大していく方針だ。「監督はやってみたい気もするけど、まだ経験が足りないと思う。そのタイミングが来たらやってみたい」と、2年目のLOVBで自らの指導力に磨きをかけるつもりだ。

 ◆LOVB アトランタ、ソルトレイクシティー、オースティン、ヒューストン、マディソン、ネブラスカの6チームが参加するプロリーグ。1月から4月までリーグ戦を行う。来季から、ロサンゼルス、ミネソタ、サンフランシスコの3チームが加入する予定。2021年東京五輪金メダルの米国代表や、各国代表らを中心にメンバーは構成されている。ソルトレイクシティーにはパリ五輪代表のリベロ、小島満菜美、オースティンには元日本代表のリベロ、井上琴絵が在籍している。

 ◆ヨーコ・ゼッターランド 1969年3月24日、米サンフランシスコ生まれ。56歳。東京・文京十中からバレーを始め、全国大会で優勝。元日本代表の母・方子(まさこ)さんがヘッドコーチを務めた東京・中村高ではインターハイ、春高バレーで3位。早大卒業後、渡米。米国代表として、92年バルセロナ五輪で銅メダルを獲得。日本に戻ってからは東芝、ダイエーなどでプレー。

引退後は、スポーツコメンテーター、21年東京五輪・パラリンピック組織委員会理事、日本スポーツ協会常務理事などを務めた。

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