◆浅草公会堂「新春浅草歌舞伎」(26日千秋楽)

 若獅子6人衆が中心の公演。中村橋之助(30)が進境著しい。

座頭2年目、3演目。落ち着きが増し、役柄の肚(はら)を掴(つか)んでいる。

 第1部の「梶原平三誉石切」は平家の武将・大庭三郎景親。市川染五郎が演じる主役、梶原の敵役だ。幕開きで立った姿が重厚。目指した立役の大きさ、風格も出て引っ込みが立派だった。

 2つ目は「傾城反魂香(はんごんこう)・土佐将監閑居の場」、通称“吃又(どもまた)”。主人公・吃音(きつおん)の絵師浮世又平は初役、大役だ。

 土佐の名字を懇願して「おねがい!」と絶叫する時、口をひん曲げ両手を口に入れ首を触る。身の哀(かな)しさを描いた。見せ場は手水鉢(ちょうずばち)に描いた自画像が石を通り抜ける奇跡。「かか、抜けた!」。

小躍りする喜びを全身で表した。

 さて、ここで突然クイズ。橋之助が今年の抱負を一文字で表現したのは? 〈1〉変〈2〉為〈3〉舞。

 最後の演目は第2部「男女道成寺」の強力不動坊。5月に辰之助を襲名する尾上左近が主役の白拍子桜子で、染五郎の強力普文坊と楽しそうに踊って左近を支えていた。

 で、プログラムに載ったクイズの答えは〈2〉。歌舞伎のため、成駒屋一門のためが人生のテーマだという。ちなみに〈1〉は染五郎、〈3〉は来月に舞鶴を襲名する中村鶴松でした。

 今、区切りの30歳の橋之助は襲名10年目。挙式が初夏に控えているそうだ。浅草歌舞伎の頼もしい座頭になった。(演劇ジャーナリスト)

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