ラグビー全国大学選手権決勝戦(11日、MUFG国立)は、明大が22―10で早大を下し、7季ぶり14回目の日本一に輝いた。前半8分に先制のPGを決められリードを許した明大だったが、同19分にトライを奪い逆転すると、その後は主導権を渡さずに快勝。

本紙評論家の元日本代表フッカーの坂田正彰氏(53)は、勝因はセットプレーの安定と、SO伊藤龍之介の状況判断を挙げた。

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 明治はスクラム、ラインアウトの安定が試合を優位に進める要因となった。最後まで集中力が途切れず、規律を守るチームディフェンスは見事だった。ブレイクダウン(ボール争奪戦)の場面でも工夫していた。相手の速い球出しを阻止することで、早大の意図する速いアタックを防ぐことに成功し、流れを渡さなかった。

 全員で勝ち取った見事な優勝だ。その中でも、決勝戦のMVPはSOの伊藤龍だと感じた。キックだけではなく、前が空いていると判断すると、そのスペースに鋭いランで走り込み、相手ディフェンスの裏に出ていた。前半33分のトライは敵陣ゴール前でディフェンスの隙間を縫う圧巻のトライ。明大はチームとして3本のトライを挙げているが、的確な状況判断ですべてのトライに絡んでいた。

 アタックばかりに目がいくが、実はディフェンス面での貢献度も高かった。自陣ゴール前に攻め込まれた時、必ず最後に戻ってディフェンスをしているのが伊藤龍だった。

チャンスとピンチの嗅覚が鋭く、それを80分間体現していたのだから、改めて質の高さを証明した。身長170センチとサイズ的には小さいが、将来の日本代表を育成する「JAPAN TALENT SQUAD」にも選ばれているだけに、今後大きな飛躍を期待させる存在だ。

 一方、早大はキックを多用したことで最大の武器となるはずの速いテンポでのアタックを作れなかった。日本代表FB・矢崎にいい形でボールが渡る機会も少なかった。明大の堅い守りにチームとしてチャンスを作れことができず、本来はフィニッシャーの役割を担う矢崎が、自らが仕掛け役となりチャンスを生み出そうとしていたが、一歩及ばなかった。(99、03年W杯日本代表フッカー)

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