◆全国高校サッカー選手権 決勝 神村学園(鹿児島)3―0鹿島学園(茨城)(12日・MUFG国立)
ピッチ上で涙に暮れる選手たちを、鈴木雅人監督はベンチの最前列で見守った。夏の総体王者・神村学園に0―3の完敗で、45年ぶりの県勢王者には届かなかった。
ただ、1回戦から勝ち上がり、同校の歴史を塗り替える準優勝で“茨城旋風”を巻き起こした鹿島学園は、今大会の主役とも言える。その原動力となったのが、2001年に就任した鈴木監督だった。大会中、熱い思いをたぎらせ、選手と向き合ってきた25年の歩みを振り返り「情熱は変わっていないかなと思います。サッカーが好きで、子どもたちが好きで。この2つが大きな柱。成長を見ることに一番やりがいを感じます」と優しいまなざしで語った。
始まりは偶然だった。
土のグラウンドの草むしりから始まり、部員は3学年で20人集まらず。特待生を募集する要項を手書きしたこともある。「学校の仕事をしながら生徒を集めて、何時間も練習して。本当に無我夢中でした」。若さと情熱で土台を作った。
3年目で全国大会に出場し、強豪校の仲間入りすると、Jクラブの下部組織からユースに昇格出来なかった選手も成長を求めて、関東はもちろん、関西圏などからも入学するようになった。その中の一人には、現在日本代表のエースFW上田綺世もいる。
鈴木監督は「ユースに上がれなかったイコール、ダメではない。懸命に努力し続けることが大事。いつか見とけよって気持ちで頑張る。そういう根底の精神は大切だよ。最後の最後にはひっくり返せ」と言葉をかけ、選手たちの自主性を促し、時には厳しさも持ち合わせながら、成長に寄り添ってきた。
試合後も「最後の壁はすごく高かった」としたが、「(3年生は)本当に自信を付けて、生き生き、堂々とプレーをしながら、勇気を持ったプレーを大きな舞台で出来たんじゃないかな」とたたえた。子どもたちの持つ無限の可能性を信じてきた指揮官のもとだからこそ、鹿島学園は大舞台でも1試合ごとに急成長を遂げたのだろう。選手と共に駆け抜けてきた歩みに、準優勝という新たな歴史が刻まれた。(後藤 亮太)

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