女優の原田美枝子(67)が、16日公開の短編オムニバス映画「MIRRORLIAR FILMS Season8」内の1本、「カラノウツワ」で主演している。映画監督に初挑戦した40年来の親友である女優・松田美由紀(64)との仕事を「自分の俳優としてのいい部分をとらえてくれた」と振り返ると同時に、女優としての在り方、短編映画の魅力なども語った。

(高柳 哲人)

 日本を代表する女優として数々の作品に出演してきた原田と松田。2人の出会いは1981年のドラマ「北の国から」にまでさかのぼる。

 共演シーンはなかったが、「(松田が)『美枝子大好き!』って抱きついてきて、そこから関係が始まりました(笑)」。その後は互いに子育てなどもあり、仕事をともにすることは一度もなかったものの、友人として付き合いは続いていた。そんなある日、「美枝子、出てほしいんだよね」と本作のオファーを受けた。

 「最初に思ったのは『美由紀が撮るんだったら』と。自分たちが年齢を重ねたからこそ、できることがあると思いましたし、そこは大事にしたいなと思いました」。パチンコ店で出会う上品な雰囲気の常連客と店員の交流を描く作品は松田が脚本も手掛けるが「実在の話らしいのですが、どこまでが本当で、どこまでがうそなのかが分からない。それが面白いと思った」という。

 松田の監督ぶりは「ずっと写真を撮ってきたので画角が分かっている。あと、人を見抜く力があるんですね。それがすごくいい形で監督業に表れていました。

(監督は)合っていると思います。美由紀はパワーも元気もあって人を巻き込む力があるんですが、それは監督として必要な力だと思いますし」。原田も過去に認知症の母を主役に「女優 原田ヒサ子」を監督したことがあるが「私のは、全然そういうレベルじゃなかった」と振り返った。

 親友だけに、普段は松田のことを「美由紀」と呼ぶが、撮影中は?「どうだったかな。たぶん『監督』って言ってたんじゃないかと思います。仕事の場で『美由紀』って呼んだら、何か偉そうじゃないですか(笑)。本人はそんなことを気にするタイプじゃないけど、スタッフもいますしね」

 今作のタイトルは「カラノウツワ」だが、原田自身が女優として演じる時は、まさに同じような心境にあるという。「自分が残っていると役とけんかしちゃうんですよ。だから、自分はいったんどかすんです。『どうぞ、私の体を使ってください。あなたの言いたいことを伝えますから』って」。ただ、その境地に至るまでには時間がかかった。

「やっぱり、自分が(いい演技をして)褒められたいのが先にありますからね。自分が単なる代弁者だというのは、30歳くらいでようやく気付きました」

 本作は15分ほどの短編作品。映画界において、日本でもようやく”短編映画文化”が広がってきているが、さらなる可能性を秘めていると考えている。「短編は『五・七・五』の俳句みたいなもの。俳句は限られた言葉の中で、ブワッと風景が見えてくるようなことがあるじゃないですか。それを言葉じゃなくて映像でやる感じ。説明が最後までできなくても、パツッと切っても作品になる面白さがありますね」

 可能性は、自らの作品で身をもって感じた。原田は文具メーカーのコクヨが企画した短編映画集の1本に出演。同社は公開前に「100万回再生狙ってます」と話していたそうだが、12日までに視聴回数は281万回に達している。

 「それだけの人数を映画館に呼ぶってなったら、大変じゃないですか。最近は『タイパ』(タイムパフォーマンス、費やした時間に対する満足度の意味)という言葉もあるし、短編は今の時代に合っているのかもしれませんね。もちろん『国宝』みたいな力のある長い作品もあって、その良さもあるんですが、短編がはやるっていうのは面白いと思います」

 松田は今後、長編作品に挑戦したいと考えているという。

その時も原田は「ウツワ」を貸すのか? 「美由紀は『本当にできるかドキドキしてきた』と話していたから『短編をもう1回でもいいんじゃない? それから長編でも』とは言いましたけどね。でも、また『出てほしい』と言われても、中身を見て考えます。台本次第です。そこは『友達だから』では決めず、厳しくいきます。友達ノリでやったら失礼じゃないですか」。その感覚が、40年以上の強固な友情につながっているのだろう。

 ◆原田 美枝子(はらだ・みえこ)1958年12月16日、東京都生まれ。67歳。74年、映画「恋は緑の風の中」で主演を務めデビュー。76年「大地の子守歌」「青春の殺人者」でブルーリボン賞新人賞など受賞。主な出演映画に「絵の中のぼくの村」「愛を乞うひと」。報知映画賞は新人、助演、主演2回と女優で最多の4度受賞。

特技は英会話、乗馬。夫は87年に結婚した俳優・歌手の石橋凌、次女は女優・石橋静河。

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