大相撲 ▽初場所2日目(12日、両国国技館)  

 東前頭16枚目・朝乃山が545日ぶりに幕内で白星を挙げた。西同17枚目・羽出山を力強く寄り倒した。

三段目転落からの幕内復帰2度は史上初。左膝の大けがから再起を果たした元大関が、9場所ぶりの幕内土俵で存在感を示した。新大関・安青錦は西前頭筆頭・義ノ富士を逆転の首投げで下して2連勝。豊昇龍、大の里の両横綱も、ともに連勝発進となった。

 万雷の拍手が心地よかった。朝乃山は、545日ぶりの幕内で勝ち名乗りを受けて表情は崩さなかったが「十両と比べて一段と大きな拍手をいただいてうれしかった」と喜びをかみしめた。9本の久しぶりとなる懸賞を手にすると「付け人の骨折り(謝礼金)分になった。明日以降の懸賞は貯金できる…。何言ってんだ俺」と、1人ボケツッコミするほど冗舌だった。

 先場所敗れた羽出山のもろ手突きに構わず前へ。まわしにこだわらず下からあてがい、土俵際で寄り倒しし、「いい相撲だった」。元大関の目標は横綱や大関と戦える上位に戻ることで「ほっとしている部分はない」と顔を引き締めた。

 幕内だった24年名古屋場所4日目の一山本戦で、左膝前十字靱帯(じんたい)断裂などを負った。大関だった21年の6場所連続出場停止に続き、関取の座を失うことが確実だった。引退が頭をよぎったが「母に『お父さん(21年に亡くなった石橋靖氏)が好きだった相撲を辞めないでほしい』と言われ」踏みとどまった。3場所連続全休し、リハビリに加えて幕下以下の力士が行う雑用をこなした。昨年3月の春場所で再び三段目から再出発した。

 この日はNHKテレビ解説を湊川親方(元大関・貴景勝)が務めた。「支度部屋で、以前(20~21年)一緒に大関を張った湊川親方が解説席にいたことが不思議だった」。同親方が「圧力をかけながら差していくのが一番強いときの朝乃山関。一番素晴らしい相撲だった」と絶賛した。

 朝乃山は「湊川親方にアドバイスやほめてもらえるのは現役にいるからこそ」と喜んだ。545日の間に幕内の顔ぶれは大きく変わり、大の里、安青錦との対戦経験もない。「世代交代で状況はかなり厳しい。

でも、若手には負けたくない」と闘志は衰えていない。不屈の元大関は、ここから再びはい上がる。(山田 豊)

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