陸上女子800メートルの日本記録保持者で、25年東京世界陸上代表の久保凛(17)=東大阪大敬愛高=が12日、大阪市内で取材に応じ、卒業後は実業団の積水化学に進むことを発表した。中長距離に特化した陸上クラブ「TWOLAPS TC」で男子800メートル元日本記録保持者の横田真人氏(38)に指導を仰ぎ、競技に専念するためプロアスリートとして活動する。

高卒の陸上選手でプロとなるのは超異例の挑戦。高校生にして女子中長距離界の第一人者となった久保の、新たな挑戦が始まる。

 陸上界を盛り上げた高校生が、新たなステージに飛び立つ。この日、大阪高校女子駅伝に出場した母校のサポートとしてヤンマースタジアム長居に訪れた久保は、試合後に取材に応じ、「800メートルを一番強くなれるって思ったのが積水化学のTWOLAPS。あまり悩むことなく決定しました」と笑顔で卒業後の進路を明かした。今後は競技に専念しプロとして活動する。

 「TWOLAPS TC」は中長距離に特化した陸上クラブ。代表兼コーチは男子800メートルの元日本記録保持者で07年大阪世陸、11年大邱世陸、12年ロンドン五輪代表で日本選手権6度優勝の横田氏が務める。横田氏に声をかけられたことがきっかけで、昨年1月に東京・世田谷区拠点の同クラブを訪れ「強くなるために見ていただきたい」と同9月の東京世陸前に決断。積水化学で女子マラソン日本歴代3位の新谷仁美(37)らも同クラブ所属で、久保も同じ形となる。

 さらなる飛躍を見据えている。昨年、高校生にして世陸代表になったが予選落ち。

レース後は必死に悔し涙をこらえた。経験したからこそ、重要だと感じたのは「位置取りや1周目のスピードとリズム、後半の落ち幅の少なさ」だという。戦うためには「もっと世界の試合に出て経験を積んでいかないと」と来季からは28年ロサンゼルス五輪を目指し、積極的に海外の試合にも出場する意向。まだ社会人デビュー戦は決まっていないが「楽しみ」と新たな挑戦に胸を躍らせた。

 和歌山・串本町出身。高校から大阪に出たが卒業後は東京に住む予定で「お母さんが来てくれて、自分が家事とかできるようになるまでの2年くらい一緒に住んでくれます。あとフウタも」と愛犬のフウタ(雄のシーズー)も共に上京予定。新天地となるが「環境が変わっても、しっかり努力して結果を残せる選手が一番強い選手」と力強く、4月以降を見据えている。

 目標は「世界で通用する選手」だ。「高校卒業してプロという形になる。だからこそ、競技力ももっとレベルアップさせていかないといけない」と表情を引き締め「将来的にはメダルがとれる選手になりたい」と言い切った。新たな環境で世界の頂点への階段を上る。

(手島 莉子)

 ◆積水化学女子陸上競技部 1997年4月に創部。練習拠点は千葉・柏市。クイーンズ駅伝は21、23年優勝。チームの愛称は「セキスイフェアリーズ」。チームスローガンは「心を一つに、一歩一歩前進!」。監督は野口英盛氏(45)。部員は現在、13人。22年オレゴン世陸マラソン代表の新谷仁美(37)や25年東京世陸5000メートル代表の山本有真(25)ら日本代表が多く在籍。主なOGは1997年アテネ世陸マラソン金の鈴木博美、00年シドニー五輪マラソン金の高橋尚子ら。

 ◆TWOLAPS TC(トゥーラップス・トラッククラブ) 20年1月に発足した人種・性別・所属の垣根を越えた陸上の中長距離に特化したトラッククラブ。男子800メートル元日本記録保持者の横田真人氏が代表兼コーチを務め、世界陸上や五輪に選手を送り出すだけでなく“戦う”ことを目標にコーチングを行う。女子は積水化学の新谷仁美、木村友香、卜部蘭らが所属。

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