西前頭筆頭・義ノ富士が横綱・豊昇龍を寄り切り、今場所初勝利で2場所連続2個目の金星を獲得した。先場所は大の里を破っており、入幕4場所で両横綱から金星をつかんだ。

横綱・大の里は取り直しの末、宇良を押し倒して3連勝とした。両大関は琴桜が小結・若元春にすくい投げで逆転勝ちし、安青錦も一山本を寄り切って無敗を守った。

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 義ノ富士は、子供の頃に映像で何度も見た景色のど真ん中にいた。結びの一番で豊昇龍を寄り切ると、館内に座布団が舞うのが見えた。「この場に立っているんだな。やったんだな」。初金星の九州場所は座席に座布団が固定されていた。初めて見る光景に胸が熱くなった。分厚い50本の懸賞の束を「2列に(袋が並んでいるのは)初めてもらった。うれしい」と大事そうに左手で受け取った。

 勢いと戦略で横綱に土をつけた。立ち合いで鋭く当たってもろ手で突き起こし、もろ差しとなって土俵際に追い込んだ。

勝機を目の前にして、気持ちを落ち着かせた。この日の朝、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・照ノ富士)から「投げに気を付けろ」と助言を受けていた。相手が首投げに来たところに、沈ませた体を寄せ、勝負を決めた。

 新入幕だった昨年7月の名古屋場所前。部屋に出稽古に訪れた豊昇龍から指名を受け、初めて胸を借りた。「あっさり負けてしまうと、『こんなもんだ』と思われてしまう」と真っ向勝負を挑んだ。3戦全敗も、豊昇龍に「いい稽古相手になりそう」と認められた。そこから半年。先場所の初顔合わせでは敗れたが、横綱への最高の恩返し。1997年春場所以来となる横綱・大関陣の初日から3連勝の記録も阻止する、波乱演出となった。

 昨年の初場所は幕下だった24歳は今場所、自己最高位の西前頭筆頭で迎えた。初日から琴桜、安青錦の両大関に2連敗。

幕内4場所目で番付が上がったことによる試練の序盤戦を経験しているが、場所後の新三役を目標に掲げるホープは「横綱、大関に勝たないと勝ち越せない。上には上がれない」と気概に満ちている。4日目は横綱・大の里に挑む。「初日と2日目に負けた分、取り戻したい」。2日連続の金星獲得へ、闘志を燃やした。(林 直史)

 ◆義ノ富士 直哉(よしのふじ・なおや)本名・草野直哉。2001年6月25日、熊本・宇土市生まれ。24歳。6歳で相撲を始め、文徳高から日大に進み、23年学生横綱。卒業後に伊勢ケ浜部屋に入門し、24年夏場所に幕下最下位格付け出しで初土俵。2場所連続十両Vで新入幕の25年名古屋場所で11勝し、敢闘賞と技能賞。九州場所で技能賞。

しこ名は義理人情の「義」に伊勢ケ浜部屋伝統の「富士」。183センチ、151キロ。

 ◆初金星から2場所連続で金星獲得した例 

 ▽友風 19年名古屋場所で鶴竜から、翌秋場所でも同じ相手から金星

 ▽貴景勝 17年秋場所に日馬富士から、翌九州場所で同じ相手から金星

 ▽伯桜鵬(現・伯乃富士) 25年名古屋場所で大の里から、同年秋場所でも同じ相手から。同年九州場所でも豊昇龍を破り、現在3場所連続金星獲得中。

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