大相撲 ▽初場所5日目(15日、両国国技館)

 西前頭3枚目・伯乃富士(はくのふじ)が大関・琴桜を4度目の対戦で初撃破した。同じ鳥取・倉吉市出身の第53代横綱・琴桜(現琴桜の祖父)は、先場所までのしこ名・伯桜鵬の由来とするなど目標で憧れだった。

東前頭7枚目・欧勝馬は、西前頭8枚目・金峰山を下し、同12枚目・阿炎とともに全勝を守った。両横綱は1敗を守った。

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 伯乃富士が四つ相撲得意の大関を力強く寄り切った。「狙い通りでなかった。自分の形ではなかった」と、身長189センチ、体重178キロの琴桜に対し、8センチ、16キロ劣る伯乃富士にとっては不利な左四つ。右足の蹴りで揺さぶりをかけ、相手の巻き替えに乗じて一気に寄り切った。「3日目に若元春関が左四つで、相手の巻き替えに出たところをすくい投げで敗れていた。いったん足を警戒させて、下に意識を向けさせようと思った。巻き替えて動いてきた時がチャンスだった」と、冷静な判断が光った。

 憧れの存在に初めて勝った。琴桜の祖父で第53代横綱・琴桜は、自身と同じ鳥取・倉吉市の成徳小出身。地元では毎年、先代・琴桜をたたえた相撲大会「桜ずもう」が行われ、同大会に出場したことをきっかけに伯乃富士は相撲を始めた。

以前のしこ名「伯桜鵬」も「桜ずもう」が由来の一つ。「かっこいい憧れの存在」と話す先代・琴桜の孫にあたる大関との対戦を熱望してきたが、3戦3敗。4戦目での初勝利に「初めて勝ったことはうれしい」と喜んだ。

 今場所からは伊勢ケ浜部屋の力士が主につける「富士」の字を入れたしこ名に改名。「よく“さくら対決”と言われるが、桜は大関の方が印象が強いので、(しこ名から桜を)取って良かったんじゃないですか」と、冗談交じりに笑った。

 3日目の霧島戦で土俵下に転落した際に、観客の靴が顔面を直撃。差し歯の奥歯2本が抜けた。それでも「かめるので、大丈夫」と抜けたまま気迫で土俵に上がる。落ちた歯は「座布団の下をめくったらあるかもしれないですね」と語る余裕も。新三役を目指す22歳は上位総当たりの5日間で、3勝2敗。3場所連続金星を獲得中で、今後の横綱戦も期待が高まる。憧れの大関撃破で勢いに乗る。

(大西 健太)

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 ◆伯乃富士と先代・琴桜 大関・琴桜の祖父で第53代横綱・琴桜は、伯乃富士と同じ鳥取・倉吉市の成徳小出身。同校の前には琴桜の銅像があり、伯乃富士は地元に帰省した際に銅像を必ず見に行く。また、同校では琴桜の歩みを学ぶ授業も行われている。同市では先代・琴桜をたたえた相撲大会「桜ずもう」が開催され、佐渡ケ嶽部屋の力士らが登場するのが恒例だ。

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