自民党の菅義偉元首相(77)=衆院神奈川2区=が、次期衆院選に立候補せず、今期限りで引退する意向を固めた。現在10期目。

既に周辺に伝えており、17日に横浜市で正式表明する。複数の関係者が16日、明らかにした。

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 政治家には大きく分けて2つのタイプがいることに気づく。大衆を熱狂させる言葉で明日を語る「演説家」と、黙々と目の前の岩を砕く「実務家」だ。菅義偉という政治家は、間違いなく後者だった。口数は少なく、笑うことはほとんどない。黙々と目の前の課題に取り組む姿を何度も見てきた。

 秋田の農村から集団就職で上京し、地盤も看板もないまま首相まで上り詰めた経歴は、世襲が目立つ永田町では異彩を放つ。しかし、菅氏を特徴づけたのは、徹底した「成果への執着」だった。

 歴代最長の官房長官として「安倍一強」の黒子に徹した男が、表舞台に立った時に何をしたか。それは、巨大な岩盤への挑戦だった。携帯電話料金の値下げは、その最たる例だ。

官僚や業界の抵抗を、人事権という剛腕でねじ伏せた手法には強権的との批判もあった。だが、生活者の財布に直接届く成果を短期間で上げた首相はまれだ。

 在任期間わずか384日。短命ではあったが、在任中にまいた「国家構造(システム)の更新」という種は、確実に芽吹き始めている。(久保 阿礼)

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