ミラノ・コルティナ五輪代表の最終選考を兼ねたスノーボード・スロープスタイル(SS)のワールドカップ(W杯)第2戦は16日、スイス・ラークスで予選が行われ、男子は23年世界選手権ビッグエア(BA)金の長谷川帝勝(たいが、20)=TOKIOインカラミ=と25年同金の木俣椋真(23)=ヤマゼン=が予選突破。既に代表入りを確実にしている木村葵来(きら、21)=ムラサキスポーツ=、荻原大翔(20)=TOKIOインカラミ=に続き、全日本スキー連盟(SAJ)の派遣基準で上位4人に入ることが決まり、長谷川と木俣はともに初の代表を確実とした。

SAJは基準日の19日以降に正式決定する。

 「主役」舞台への道がひらけた。体調不良から復帰2戦目の長谷川が、ようやく初の五輪切符をつかんだ。予選1回目に74・00点をマークし、1組6位で17日の準決勝に進出。「しっかり自分のランができて良かった」と安堵(ど)の表情で息をついた。この時点で全日本スキー連盟が定める派遣基準を満たし、木俣とともに世界王者コンビが荻原、木村に遅れ、ミラノ五輪代表選考の最終戦で残り2枠の席をつかみ取った。

 「タイガ」の名はゴルフで米ツアー歴代最多タイの82勝を誇るタイガー・ウッズ(米国)や虎に由来する。「強い名前をつけたい」とスポーツ好きの父・俊介さんの思いがあった。その名の通り、23年世界選手権BAで日本人初制覇と日本のエース格に成長。昨年6月にハーフパイプで五輪王者の平野歩夢(27)らと同じTOKIOインカラミと所属契約し、会見で「(前半の)ビッグエアで(ミラノ五輪の)日本人第1号の金メダリストになって(後半の)スロープスタイルでも金を取って、俺が主役になる」と2冠を宣言した。

 しかし初の五輪が目前のシーズン。BA開幕戦は大技に挑むも決められず8位。

その後の2戦は体調不良で遠征を離脱。「少し肩に力が入っていた」。一時帰国し、昨年末に岐阜・高鷲スノーパークで幼なじみと滑って気分転換。「早めの(二十歳を祝う)式かな。自分と向き合う時間も取れた。いい方向に肩の力が抜けた」。遠征で二十歳のつどいは欠席したが、今年の主題は「覚悟」と奮い立たせ、勝負に向かった。

 力強い言葉の裏に努力を重ねてきた。初の五輪にともに挑むライバル・荻原は「朝5時からマシンの音が聞こえる」とストイックさを明かす。23日開幕の冬季Xゲームを経て、五輪本番に挑む。「リスクを背負わずやろうと思うが、しっかりベストを尽くす」と長谷川。初舞台で“タイガ”劇場を披露する。

     (宮下 京香)

◇長谷川 帝勝(はせがわ・たいが)

 ▽生まれとサイズ 2005年10月23日、愛知・岩倉市生まれ。20歳。159センチ。

 ▽競技歴 スノーボードが好きな父の影響で4歳の時に触れ、小学3年で大会に初出場。小学1~5年はサッカー、6年時からスノーボードに軸を移す。

 ▽主なタイトル 15歳だった21年世界ジュニア選手権ビッグエア(BA)で優勝。W杯は23年にBAで初優勝し、SSと合わせ、通算5勝。同2月の世界選手権BAで日本勢初優勝。24~25年シーズンW杯BA種目別制覇。25年世界選手権同銀。BAの世界ランク1位。

 ▽名前の由来 帝王に勝って一番になるという意が込められ、強さを象徴するウッズや虎から。

 ▽読書家 大会前のルーチンは15分間の読書タイム。幕末の偉人・吉田松陰の超訳「覚悟の磨き方」が愛読書。

 ▽家族構成 両親と兄。

 ◆名前が「たいが」のアスリート ゴルフ界はタイガー・ウッズの影響で多数。ゴルフ男子ツアー5勝の蝉川泰果(25)、昨季初優勝の長野泰雅(22)、杉原大河(26)はいずれも由来はウッズ。野球界は西武の平沢大河内野手(28)、サッカーはシントトロイデンの秦大雅(23)ら。

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