大相撲初場所7日目(17日、東京・両国国技館)

 横綱・豊昇龍が気迫の相撲で1敗を守った。西前頭3枚目・伯乃富士との最初の一番で右の額から流血しながら、取り直しの一番を寄り倒しで制した。

平幕の阿炎が初黒星を喫し、横綱初優勝に向け、トップに並んだ。1敗は横綱・大の里、新大関・安青錦、関脇・霧島、平幕の欧勝海を加えた6人となった。

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 右の額の傷が、勝利への執念を物語っていた。結びの一番を終え、支度部屋の奥に座った豊昇龍の右の額は頭髪ごとすりむけ、赤く血がにじんでいた。「痛いよ。髪の毛がまた薄くなっちゃった」。自虐気味にぼやきつつ、顔に傷を負ったのは、平幕時代の22年初場所14日目・正代戦以来だと自身で記憶をたどった。「これがあったから、勝ったと思う」と胸を張った。

 伯乃富士には先場所の初日で金星を配給していた。「終わったことは終わったこと。意識はしなかった」。気持ちを整えて臨んだ最初の一番。

土俵際の捨て身の右小手投げに軍配が上がったが、物言いがついた。横綱の左手が着くのと、相手の体が飛ぶのが同体として取り直しになった。

 投げを打った際、蛇の目(土俵の外側に約25センチ幅で砂を敷いた部分)に頭から突っ込んでいた。流血を押して、取り直しの一番へ気合を入れた。「気持ちは切れてなかった。しっかり集中できた」。素早く右上手を取って投げで崩し、頭をつけて休まず寄り倒した。土俵下の九重審判長(元大関千代大海)は「額に傷をつくって、顔つきがぐっと変わった」とうなった。

 今場所は3日目に義ノ富士に金星を配給も、そこから4連勝と引きずることはなかった。横綱昇進6場所目の初賜杯へ、1敗でトップに並んだ。「それは気にしてない。横綱としてやるべきことをしっかりやるだけ」。

8日目は6年ぶりに天皇陛下国技館行幸(天覧相撲)が行われる。「気合入れて頑張るしかない」。東の正横綱として、魂の相撲を見せる。(林 直史)

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