18年平昌五輪銅メダリストの高梨沙羅(29)=クラレ=が、2月のミラノ・コルティナ五輪代表入りを確実にした。17日に行われたW杯張家口大会(中国)が終わり、全日本スキー連盟(SAJ)が、五輪代表決定の基準日とする19日前の女子の大会がすべて終了。

ジャンプ女子の五輪代表枠「4」でSAJが定める派遣基準をクリアし、代表当確となった。高梨は4度目の五輪で丸山希(27)=北野建設=、勢藤優花(28)=オカモトグループ=、伊藤有希(31)=土屋ホーム=の代表入りも確実となった。正式な代表発表は19日以降。

 高梨の4度目の五輪が確実となった。17日のW杯は1回目に123・5メートルを飛んで4位につけたが、2回目は悪天候でキャセルとなり4位で確定した。SAJが定めた五輪の日本代表選考対象大会が全て終了。派遣推薦基準を満たし、初実施された14年ソチ大会から4大会連続での大舞台切符を手中におさめた。「開幕から徐々に調子を上げてこられている。今できることに集中して取り組みながら、五輪を迎えられたらと思う」と決意を新たにした。

 五輪の借りは五輪で返す。前回北京大会の混合団体でスーツの規定違反で失格し、日本は4位だった。一時は引退も考えるほど自身に暗い陰を落としたが「応援してくれる人がいる」と自身を奮い立たせ再び歩き出した4年間。

自分のジャンプで感動や勇気を与えることで、見てくれる人たちの心に何かを届けられればと必死に前を向いてきた。

 あくなき探究心が約20数年、世界のトップを走り続けさせている。10代の頃からスター街道を歩き、W杯では男女を通じて最多となる63勝を挙げても決して今に甘んじない。昨季は自身初めて表彰台なしと苦しんだが、取り組み続ける足を前後に開いて着地するテレマーク姿勢に心血を注いだ。男子選手の飛型を連続写真に撮り、自身と照らし合わせて違いを探った。

 今夏の練習では、ゼロからジャンプを作り直した。助走路から飛び出しで後ろ気味だった姿勢を改善するため、今まで飛んでこなかった札幌の小さなジャンプ台を飛んだ。小さい台では風などを受けづらくしっかりとした形でないと飛んでいかない。腰や重心の位置など細部にわたって確認。全ては復権のため。29歳を迎えても貪欲に競技と向き合ってきた。20日からは蔵王、23日から札幌とW杯国内4連戦が待つ。

慣れ親しんだジャンプ台で最終仕上げに入る。「メダルを取らないと皆に見てはもらえない」。女王返り咲きへ、夢舞台に再び挑む。

 ▽生まれ 1996年10月8日、北海道・上川町出身。

 ▽競技歴 8歳(小2)だった2004年に始める。父と兄も元ジャンプ選手。

 ▽バレエ ジャンプ競技以前に、4歳頃からバレエ教室に通っていた。幼なじみの勢藤優花も同じ教室に通っていた。

 ▽天才少女 14歳だった11年1月に札幌・大倉山ジャンプ競技場で行われたHBC杯で当時の女子の最長となる141メートルの大ジャンプを披露し、一躍、ヒロインに。同2月のコンチネンタル杯で、国際スキー連盟公認国際大会で史上最年少優勝。12年には蔵王大会で日本女子初のW杯優勝。

 ▽飛び級 14年4月に17歳で日体大へ飛び級で進学。

18年に卒業した。

 ▽ギネス記録 20~21年シーズンに達成したW杯通算60勝と、109度(現在は63勝)の表彰台はいずれも男女通じ世界最多で、ギネス世界記録に認定。

 ▽趣味 カメラ。オフや遠征先でも気なったり、目に付いたものを写真に収め気分転換。

 ▽サイズ 152センチ。

◆沙羅の五輪VTR

 ▽14年ソチ五輪 直前までのW杯で10勝を挙げるなど圧倒的強さで本番に臨んだ。1回目100メートルで首位と2・7点差の3位につけたが、2回目は98・5メートルと飛距離を伸ばせず4位。金メダルのフォクト(ドイツ)と4・4点差、3位のマテル(フランス)とは2・2点差だった。

 ▽18年平昌五輪 ルンビ(ノルウェー)、アルトハウス(ドイツ)との三つ巴。W杯総合3位で迎え、1回目103・5メートルでルンビ、アルトハウスに次ぐ3位。逆転を狙った2回目も同じ距離で順位を死守して、ジャンプ女子で史上初の五輪メダルを手にした。

 ▽22年北京五輪 個人ノーマルヒルは1回目98・5メートル、2回目100メートルを飛んだが4位にとどまった。

続く新種目の混合団体に佐藤幸椰、伊藤有希、小林陵侑と臨んだ。1回目に103メートルを飛んで暫定首位だったものの、スーツの規定違反により失格。それでも、諦めず2回目も飛んで98・5メートル。日本は4位だった。

 ◆ジャンプのミラノ・コルティナ五輪への道 ジャンプの五輪代表出場枠は女子は4枠。24~25、25~26年シーズンのW杯、サマーGP、世界選手権で〈1〉8位以内を1回以上〈2〉10位以内を2回以上〈3〉15位以内を3回以上〈4〉25~26年シーズンの1月19日時点でのW杯ランキング上位4人が選出される。

編集部おすすめ