馬トク報知では今年から過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】がスタートする。今回のプロキオンSはまだ1400メートル時代にシルクフォーチュンが圧巻の追い込みを見せた2011年。

昨年、落馬事故で亡くなった藤岡康太さんも驚く砂の切れ者の初タイトルだった。

 とても9番人気の伏兵とは思えないパフォーマンスだった。前半3ハロンのラップは33秒9。出遅れて最後方に位置したシルクフォーチュンだが、芝並みの速いペースの中では逆に絶好のポジションだった。

 4コーナーを抜群の手応えで回ると、上がり3ハロン34秒9をマークした最後の直線は圧巻の走り。馬群を割るようにダノンカモン(2着)、ケイアイガーベラ(3着)に並ぶ時間もあたえない。先頭に立ってからも、まだ勢いは止まらずに2馬身半差の圧勝。「メッチャ、気持ち良かった。乗ってる僕もびっくり。ほかの馬が、止まって見えるようだった。はまったにしても、強い内容だった」。初コンビの藤岡康は驚くしかなかった。

 デビュー20戦目での重賞初V。ここまでの道のりは、決して平坦ではなかった。3歳時に後肢を骨折。約1年1か月もの休養を強いられ、当時もボルトが入ったままだった。4歳になって、一気の4連勝。どれも後方からインパクトのある末脚で勝ち星を重ねたが、オープンでは5戦未勝利と、意外なほど足踏みが続いた。

 「本当に、感動的なレースをしてくれる馬。ずっと調子は良かったけど、しばらく勝てなくて…。でも、きょうは本当に良かった。うまくいくときは、うまくいくものです」と藤沢則調教師は笑顔。愛馬が壁を乗り越えたことを、心の底から喜んだ。

 その後、2012年のカペラSなど重賞3勝を挙げ、同年のフェブラリーSでも2着に入るなど一線級でも存在感を示した。

9歳まで長く現役を続けた末、2015年2月に引退した。

 藤岡康太さんにとっては、これが騎手5年目にして、初のJRAダート重賞制覇。その後も順調にキャリアを積み、2023年のマイルCS(ナミュール)などを制したが、2024年4月に落馬事故のため、35歳の若さで天国へと旅立った。

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