大相撲初場所10日目(20日、東京・両国国技館)

 横綱・大の里(25)=二所ノ関=は、西前頭4枚目・熱海富士(23)=伊勢ケ浜=に取り直しの末、押し出されて今場所3個目の金星を配給し、4敗目を喫した。昨年11月の九州場所千秋楽を休場する要因となった左肩の状態が心配される中、強行出場したが、3連敗は三役昇進後で初めてとなった。

八角理事長(元横綱・北勝海)は横綱に訪れた初めての「試練」と厳しく指摘し、終盤戦の奮起を促した。

 両手を膝について、横綱がぼう然と立ち尽くした。大の里は取り直しの一番で、熱海富士に得意の右を差したが、万全ではない左肩の影響があった。巻き替えてのもろ差しを狙ったが押し切れなかった。逆に土俵際で止まったところをはたかれ、不利な体勢になると、そのまま押し出された。過去6戦全勝だった相手に通算9個目の金星配給。支度部屋では「もう1回集中して頑張る」と繰り返すしかなった。

 物言いがついた最初の一番では、立ち合いから右を差して、右手一本で耐えて、粘った。最後はもたれて倒れ込むと軍配は熱海富士。なんとか同体取り直しで命拾いした。休場危機に直面している横綱に対して、館内から「頑張れ」と異例といえる声が飛んでいた。

 3連敗は新入幕だった24年初場所以来。

三役昇進後では初の屈辱だ。8日目の伯乃富士戦で左肩の状態を悪化させた。9日目の若元春戦でも左を使えずに完敗していた。横綱土俵入り前の花道では両肩を動かす準備運動をいつも以上に行った。支度部屋ではてっぽうを2回打った後に両腕を伸ばして確認。さらに6回打つなど慎重に体と向き合った。師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)はこの日の取組前に「力が抜けているように見える。修正したらどうか」と心配していたが、事態は好転しなかった。

 23年夏場所の初土俵から史上最速での横綱昇進など数々の最速記録を打ち立ててきた。八角理事長は「大の里は頑張るしかない。試練だと思う。初めての挫折じゃないか。

これを乗り越えれば一皮むける。歴代の横綱のように気持ちで乗り切るしかない」と奮起を促した。

 15日間、土俵を務めることができるのか。報道陣から「戦う気持ちは消えていないか」の問いに「もちろん。明日に向けて集中してやっていく」と力強く応じた。11日目は過去9戦全勝で2敗トップの霧島と対戦。まだ心は折れていない。(山田 豊)

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