俳優の斎藤工(44)がデビュー25周年を迎えた。アルバイトをしながら夢を追った20代を経て2014年のドラマ「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」でブレイク。

俳優以外にも映画監督などマルチに活躍し、昨年のドラマ「誘拐の日」で人気子役・永尾柚乃(ゆの、9)と共演して自身の立ち位置を見つめ直した。2月10日に配信開始するNetflix映画「This is I」(松本優作監督)では医師の和田耕治役を演じた。(有野 博幸)

 落ち着いた雰囲気の学者肌。斎藤の周りでは空気がゆったりと流れている。「細胞がのんびり系。しゃべり方が、とろいだけなんですけどね」と照れくさそうに笑う。

 芸能生活25周年。年齢は40代半ばを迎えた。若い才能のまばゆい輝きを目の当たりにして、足元を見つめ直す機会が増えた。昨年夏、当時8歳の永尾と共演したことが特に印象的で「僕が積み上げてきたと思いがちな25年間は、厚みというより、変化を運命と受け入れるための時間だったのかもしれない。老害の予備軍だと自覚して、永尾さんのような若い才能の邪魔をしない、風よけになる、それが自分の役割なのでは」と思い知らされたという。

 「もちろん、もっと自分で演じたい、もっと映画監督をやりたいという欲もある。

でも、輝こうとしている人を支える輝き方がある」と気づかされた。父が東北新社で映像制作の仕事をしていた関係で幼少期から撮影現場に足を運び、「職人さんたちとのコミュニケーションが大好きだった。そんな憧れの思いを持って、この世界に入っている」。その原点に立ち返り、進むべき道を再確認した。

 永尾と共演し、俳優としてはもちろん、製作者としても刺激を受けた。「彼女は5歳から脚本を書いていて、読ませてもらったんです。最初の4ページくらいで驚愕(きょうがく)の傑作だと確信しました」。現代人の利己主義など、社会問題やSF要素を盛り込んだ内容で「ウルトラマンの物語や星新一さんが書く小説のような印象を受けて、希望を覚えました」。斎藤自身も大のSF好き。今後、製作者としてタッグを組むことがあるかもしれない。

 20代の頃は人知れず下積みを経験した。「30歳になっても役者の仕事だけでは食べていけなかった。

同世代の方が活躍しているのを見て『すごいな』『悔しいな』と思ってましたね。性格的にギラギラしていないからこそ、心の中では焦ってました」。それも今となっては「世に知られていない潜伏期間があったから、周りから何を言われても勘違いしない筋肉が培われたのかな」と前向きに捉えている。

 2014年、夫がいない平日の昼間に不倫をする主婦を描いた上戸彩主演のドラマ「昼顔」に出演。「セクシーな男性」として一躍、注目された。「ニーズがあって、初めて成り立つ職業ですから、役割を与えてもらった。100%ポジティブに受け止めました。素の僕を知っている近しい人は笑ってましたけど、キャラをいただいたので、それを全うしようと思いました」。当時はやっていた「壁ドン」を何度もリクエストされ「必死に期待に応えてましたね」と懐かしそうに目を細めた。

 発酵食品を中心にした食生活で腸内環境を整える「腸活」をライフワークにしている。きっかけはコロナ禍だった。「撮影延期などが相次ぎ、ウイルスに立ち向かうためにどうしようかと、研究しました。

試行錯誤して発酵食品に注目しました」。具体的には小麦と砂糖を摂取せず、手作りのみそ、漬物を食べるようにした。その結果なのか、ひどかった花粉症が改善され、熱心に取り組むようになった。

 生活リズムをガラッと変えるのは難しい。初心者でも手軽に始められる腸活のコツを聞いた。「何かを足すより、引き算の方ができるのかな。僕の場合は小麦と砂糖ですけど。あと、寝る前の3~4時間は食べない。寝る前に食べると、臓器が夜勤明けでまた働くような過重労働になって負担がかかる」。現在の食生活は1日2食。週1回は「チートデイ」として好きな物を食べる日にして「それほどストイックではないですよ」と涼しい顔で語る。

 排便のコントロールを意識している。

「快便の日って、気分もモチベーションも上がりますよね。腸活をしていると、終わってからトイレットペーパーで拭かなくてもいい便がスルッと出るんです。それを常にするようにしています」。今後は「腸活の伝道師」として「小学生にも分かるように絵本にしたいなと思って動き出してます。体を整えると、精神的な安定にもなりますから」と明かした。

 タレント・はるな愛(53)の半生を描いた「This is I」で、当時の日本でタブーとされていた性別適合手術をする和田医師を演じた。「試写を見て、誰よりもリアクションをしていたのが、はるな愛さん本人でした。届けるべき人に届けられたんだなと、ホッとしました」。はるなをモデルにしたケンジ役を演じた望月春希(18)には「今の彼にしか演じられない、奇跡の瞬間に立ち会えた。この才能を全世界に発信したい」と賛辞を贈った。

 ◆「This is I」 はるな愛の自伝「素晴らしき、この人生」と和田耕治・深町公美子共著「ペニスカッター:性同一性障害を救った医師の物語」を参考にした物語。大阪に生まれ、松田聖子に憧れてアイドルを志した少年・ケンジの半生を80~90年代のヒットソングを交えてポップに描く。

 ◆斎藤 工(さいとう・たくみ)1981年8月22日、東京都生まれ。44歳。01年に映画「時の香り~リメンバー・ミー」でデビュー。主な出演作はドラマ「臨床犯罪学者・火村英生の推理」(16年)、映画は「シン・ウルトラマン」(22年)、「零落」(23年)、「新幹線大爆破」(25年)など。18年に長編監督デビューした映画「blank13」で国内外の映画祭8冠。身長184センチ。血液型A。

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