大相撲初場所13日目(23日、東京・両国国技館)

 新大関・安青錦(21)=安治川=が横綱・豊昇龍(26)を上手投げで破り、2敗で単独トップを守った。豊昇龍には本割で4戦全勝。

同一横綱に初顔合わせから4連勝は1931年1月場所で武蔵山が宮城山に記録して以来、95年ぶりの快挙となった。自身2度目で、2006年の白鵬以来の新大関優勝にも大きく前進。1差で追う関脇・霧島(29)=音羽山=と西前頭4枚目・熱海富士(23)=伊勢ケ浜=が14日目に対戦するため、優勝決定は千秋楽まで持ち越された。

 沸き立つ館内で、安青錦は小さく息を吐いた。豊昇龍との結びの一番。立ち合いでもろ差しを許しかけたが、前傾姿勢を保って両腕でおっつけるようにして我慢。頭を密着させて左前みつを引くと、最後は力強い上手投げで横綱を転がした。取組直後、支度部屋で息を荒らげながら「我慢できて良かった。いつも通り引かないことを意識した」と振り返った。大関昇進後初の結びで横綱戦にも「特に大関とかは気にしすぎないように。(結びは)やったことがある。やることは変わらないので、自分の相撲を意識した」と冷静だった。

 この日の勝利で本割での対豊昇龍戦は、昨年の名古屋場所から4連勝(決定戦を含めると5連勝)。同一の横綱に初顔から4連勝は、1931年1月場所の武蔵山が横綱・宮城山に4連勝して以来95年ぶり、昭和以降で2人目の快挙となった。さらに11勝に白星を伸ばし、昨年春場所の新入幕から6場所連続で11勝以上となった。

 新たな代名詞が生まれようとしている。今場所は左まわしを引いてからの、力強い相撲内容が光る。この日も左まわしを引いてから、勝負を決めた。これまでは右四つを得意としてきたが、86キロを誇る握力を生かした左四つについて師匠の安治川親方(元関脇・安美錦)は、「今場所は左まわしがスムーズに取れている。左右どちらでも取れる」と“二刀流”に太鼓判。21歳の新大関の進化が止まらない。

 優勝争いでは2敗で単独トップを守ったが、「あと2日あるので、しっかり今まで通りやれたら」と冷静。土俵下の九重審判長(元大関・千代大海)は「完璧すぎる。主役は俺だというスイッチが入った」と称賛の言葉を並べた。

14日目はこれまで過去3戦全敗の横綱・大の里戦。八角理事長(元横綱・北勝海)も「そんなに甘くない」と語る。天敵を乗り越えた先に、20年ぶりの新大関優勝が待っている。(大西 健太)

 ◆安青錦の今場所の記録

【達成済み記録】

 ▼新入幕からの連続2ケタ勝利 自身が持つ記録を6場所に更新(12日目に達成)。

 ▼同一横綱に初顔から4連勝 1931年1月場所の武蔵山が横綱・宮城山に4連勝して以来95年ぶり、昭和以降で2人目。

【達成を狙う記録】

 ▼新大関の優勝 06年夏場所の白鵬以来20年ぶり、昭和以降7人目。

 ▼新関脇、新大関の2場所連続優勝 双葉山以来、89年ぶり。

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