宝塚歌劇の元月組トップスター・彩輝なお(在団中「直」)は現在、東京・シアタークリエで公演中の舞台「ピアフ」(栗山民也演出、2月に愛知と大阪でも上演)に出演中だ。エディット・ピアフを演じる大竹しのぶの代表作として知られるが、彩輝も2011年初演時から、歌手でもあった銀幕スター、マレーネ・デートリッヒを演じてきた。

 「ピアフにとって親友でありながら、どこか母親のような一面もあったのではないでしょうか」。出演シーンは多くない。しかし、軍服姿のマレーネが登場すると空気は一変。天才ゆえの破滅的な言動で周囲も手が付けられなくなるピアフが、別人のように素直になる。安定剤のような存在だ。再演を重ねる中での大竹との信頼関係も、演技に深みを与えているだろう。

 「特に初演時は悩みました。役もさることながら、大竹さんと初めて向き合う緊張感。ご一緒して学んだものは、たくさんありすぎて。私自身、この作品に育てていただいた。芝居をなぞるようなことは一切なさらず、毎回違う。気の引きしまる思いです」。

ひとつの役を演じ続けられる喜びと責務を感じている。

 それにしても軍服姿がよく似合う。「退団してからも男役の経験が生きている。感謝ですね。この辺りの振る舞いは自然に、意識しなくてもできるんですよね」。宝塚を05年に卒業して約20年になる。24年秋に退団した元雪組トップ、彩風咲奈にとって彩輝は憧れの存在だったのは有名な話。「そう思ってくれるのはありがたい。でも在団中を振り返ると、ただただ自分は必死でしかなかったんですよね」。そう謙虚に回想できるのも、出会いや巡り合わせで人生が大きく変わることを、人一倍理解しているからだろう。(内野 小百美)

 ◆進化した姿見せたい 〇…彩輝は2、3月に東京と大阪で開催される「エリザベート TAKARAZUKA30thスペシャル・ガラ・コンサート」にも出演。名作「エリザベート」の主人公トートはさよなら公演でも演じた役どころ。

「いまの私があるのはトートをさせていただいたからだと思う」といい、「懐かしさを感じながらご覧になる方もいらっしゃるでしょうが、コンサートではちょっとでも進化した姿をお見せできれば」と話した。

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