大相撲初場所14日目(24日・両国国技館)

 4敗の横綱・大の里が、2敗で単独首位だった新大関・安青錦を押し倒し、千秋楽で最大6人に優勝の可能性が残る大混戦を演出した。2場所連続制覇を狙う安青錦は3敗に後退。

西前頭4枚目・熱海富士は関脇・霧島との3敗対決を浴びせ倒しで制し、安青錦と並んでトップに立った。賜杯争いは安青錦、熱海富士を1差で大の里、霧島、平幕の阿炎、欧勝海の4人が追いかける。

 熱海富士が持ち味の馬力を存分に発揮した。立ち合いで左上手をつかみ、霧島を一気に土俵際に追い込んだ。もろ差しを許して残られたが、右に逃れる相手に体を寄せて圧力をかけ、土俵外へ浴びせ倒した。幕内最重量195キロの体格を生かし、2日連続で組まれた3敗対決を連勝で突破。千秋楽を前に、トップの安青錦に並んだ。支度部屋に戻ると、「よしっ」と小声で叫んだ。

 昨年4月に180キロだった体重は、昨年12月の冬巡業後の測定で15キロも増えていた。部屋付きで指導にあたる楯山親方(元幕内・誉富士)は当時、体重を絞るべきか相談を受け「痩せなくていい。そのまま相撲を取ればいい」と助言したという。スケールアップした体で前に出る姿勢を磨けば、自然と結果が付いてきた。

同じく部屋付きの桐山親方(元関脇・宝富士)も「200キロ近い体で突進して圧力をかけて、どんどん攻めてくる。相手は嫌でしょう」と成長を認めた。

 熱海富士は、本場所中は首尾一貫して支度部屋で取組についてコメントを発していない。この日も最初は報道陣の問いかけに応じなかったが、風呂場に入り、帰り支度で再び戻ると、少しだけ口を開いた。「場所中なので。相手もあることなので。千秋楽にはしゃべります」。申し訳なさそうに話し、帰路に就いた。

 言葉では思いは表現せずとも、静岡県勢初賜杯への思いは強い。昨年、静岡で行われた巡業では温かい歓声に迎えられ「期待に応えられるように一番でも多く勝って、皆さんに元気な姿を見せられたら」と決意した。西前頭4枚目で11勝を挙げ、静岡県出身では戦後初の新三役の可能性も高まってきた。優勝制度ができた1909年夏場所以降、初日から2連敗した優勝力士はいない。

大逆転で静岡の歴史、大相撲の歴史を塗り替える。(林 直史)

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